平凡

平凡

結婚生活

『ゼロ秒思考』が導いてくれた、風が気持ちよい部屋

その物件を内見したのは、5月のよく晴れた日だった。 はじめて訪れる郊外の街はとても静かで、遠くから子どもが遊ぶ声が聞こえてきた。 「台所の窓が大きいんですよねえ」 不動産屋の青年が言って窓を開けた瞬間、風がふわあ、と吹き込んだ。 窓の外では、大…

10年ごしの「買ってよかった2021」

10年近く前。 ひとつのクッションを買った。 中東風のランプやラグが並んでいる店で、ひとめぼれ。 カバーは赤地で、南米の高原風の風景が刺繍されている。 デフォルメされた小さなアルパカ(たぶん)や草の刺繍は、どことなく8bit時代のテレビゲームのグラ…

クリスマスの食卓

クリスマスに、ちょっと特別なものを外で食べる。 そんなありふれた習慣が、我々夫婦にもあった。 12月2週目近くになると、店を選ぶ。 洋風で、コースになっていて、気さくだけど、「ワンピースぐらいは着ていくかね」と思えるようなところ。 「クリスマスの…

息をするのもめんどくさいのに、麦茶作ってんの? マジ?

最近、麦茶を家で作っている。 ついでに、出汁も。 息をするのもめんどくさいはずなのに……!? 息をするのもめんどくさい話は、以下に。 hei-bon.hatenablog.com きっかけはただひとつ、冷蔵庫を大きくしたこと。 いままで、麦茶は買っていた。 冷蔵庫のドアポ…

ベッド選びは沼っていうか森。深い深い、迷いの森

11月いっぱい。いや、その前から頭を悩ませていたこと。 それはベッド。 ありふれた家具であり、おそらく全人口の5割、もしくはそれ以上が使っている寝具。 「ベッド買ったよ~」なんてつぶやきは、インターネットにもリアルにも溢れている。 なのに……こんな…

息をするのもめんどくさい私が食洗機、買いました。どうですか? 便利ですか?

突然だが、わたしは極度のめんどうくさがり屋だ。 世に「風呂に入って後悔した人はいない」という名言がある。 「風呂は入るまではめんどうだが、入ってしまえばほっこりすっきり、後悔なんてするまいて」というさわやかな言説だ。 言いたいことはわかるッ………

やべぇ、家具家電に金使い過ぎてる。ところでいわゆる「浮かれ電飾」の季節ですね

でっかい本棚を買った。 冷蔵庫を買った。 食器洗い乾燥機を買った。 これからベッドフレームが来る。 マットレスも来る。 廊下では、テレビ台が組み立てられるのを待っている。 新しいノートパソコンを買った。 はじめてのメカニカルキーボードを買った。 …

地味な困りごとに満ち満ちたこの世界の「ちょっといいこと」

今週のお題「最近あったちょっといいこと」 最近の、「ちょっといいこと」といえば、切れた電球を交換できたことだ。 「いやいや、いくらなんでも『ちょっと』過ぎない!?」と思われるかもしれない。 が、この誰にでもできるはずの、単純で簡単な作業が案外、…

羽毛布団を失った傷は、羽毛布団で癒やす

ビッグカメラ系列の「生毛工房」の羽毛布団を買ったらとてもよかった、という話。

また新しい夢を見る

都会のマンションと雲空のフリー素材 https://www.pakutaso.com/20200539128post-27326.html はてなブログ10周年特別お題「10年で変わったこと・変わらなかったこと」 10年前の春、わたしは引っ越しをしていた。 ひとりには広すぎる2DK。 郊外の格安物件。 …

鍵をかける

フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com) photo by エリー 扉を閉めて、鍵をかける。 ちゃんと閉まっているか、確認する。 そのとき、疑問が浮かぶ。 わたしは、いま、なんのために鍵をかけているのだろう。 ところで先日、引っ越しをした。 いつものことな…

「お義母さんって何が好きなの?」「アイスかな」

フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com) photo by すしぱく 数年前のこと。 夫と結婚の準備を進めるなか、そのステップがついにやってきた。 義母に挨拶に行く――。 で、手土産である。 「お義母さん、何が好きなの?」 「アイスかな」 「じゃあ、ハーゲンダ…

記憶の飛び火

フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com) photo by すしぱく 夫の横顔が好きだ。 額から鼻にかけてのラインが、なんというかイラスト的な稜線を描いていると、いつも思う。 それでいて線が細すぎない。 漫画家の絵でいうなら、きたがわ翔か、あるいは……。 あ…

コンビナートを見て育った

コンビナートを見て育った。 朝日は赤と白に塗り分けられた煙突や、巨大なガスタンク、複雑に絡み合った金属製のパイプを照らして昇るものだった。 近所には公害被害者のための療養施設があり、小学校で習う地域史でも、公害問題は大きくあつかわれていた。 …

手作りを喜ぶ女

「バフ」ってことばがある。 ゲーム用語で、魔法やアイテムで、ステータスをアップさせること。 バフ盛り盛りで攻撃、なんて使い方をする。 わたしは夫の手作りレアチーズケーキを食べながら考える。 手作りはバフだ。 ただし、危険なバフ。 ハマらなければ…

愛しの洋梨体型。あるいは、フリーライター界最弱のわたしがリングフィットを続けているわけ

リングフィットアドベンチャーが続いている理由を書いた記事。

海外旅行へ行く理由

今週のお題「2019年上半期」 曇天の下で、寄せては返す波をぼんやりと見ている。 透き通った海水が波となって立ち上がるその瞬間、繊細な飴細工のように見える。 視界を広く取ると、エメラルドグリーンの海が広がり、白い小さな波頭がそこかしこで砕けている…

義母の庭

庭は生き物だ、と思う。 育てたように育ち、記憶をもつ。 そして、愛された生き物は、見る者に幸福をもたらす。 6月。 降りしきる雨に、紫陽花が濡れている。 水色、青、紫、赤紫、ピンク。 こんもりと手まり型になったものや、 つぶつぶとした花を装飾花が…

結婚に期待しすぎてはいけない

言葉とは、化石燃料のようなもの。 “資源”だと思う。 独立したばかりのころ。 わたしは、アルバイトをしていた。 今までになかったレベルの 経済不安定さに頭をガツンとやられたから。 というのも、もちろんある。 しかし、もうひとつ大きな理由があった。 …

いつもの料理が、急にみすぼらしく見えて

母の体調がすぐれないというので、週末、実家へ帰る。 食欲はあるという母のために、料理を作ることになった。 母はひとり暮らしになって4、5年経つが、 それまでずっと家族の食卓を支えてきた。 誰かのために料理を作りつづけてきた彼女は、 自分のためだ…

片づけられない人間が見つけた限界片づけ術

この記事は、本当に、本当に、片づけられない人に向けて書いている。 もはや気力がない、どうしていいかわからない人に向けて書いている。 本当に片づけられない――というか、片づける気力がわかない人間にとって、 「どう取りかかるか」が最大の問題だ。 世…

アルパカ純度100%! 那須アルパカ牧場

那須アルパカ牧場。 その名の通り、アルパカしかいない牧場。 そこでは、11万平方メートルの広大な敷地に350頭のアルパカ*1が暮らすという。 アルパカ牧場 那須ビッグファーム ゴールデンウィークに念願のアルパカ牧場に行ってきたので、 そのすばらしさを紹…

牧場

青々とよく茂った牧草。 それを踏み分けながら、ロバが走ってくる。 ウマ科の動物が走る様子など、日常生活ではまず目にしない。 夕陽に照らされ、ノスタルジックな映画のワンシーンのようだ。 やがて、ボエッボエッボエッと、苦し気に聞こえる鳴き声が響く…

クロスバイク買ったら、ツイ婚できた話

突然だが、我々夫婦はツイッターで出会い、結婚した。 いわゆるツイ婚だ。 そのきっかけとなった転機といえば、 自転車に乗り始めたことか。 2011年の春。 わたしは突然、クロスバイクを買った。 周りの人は皆、驚いた。 わたしはインドア極まったタイプだか…

夫の死角

トロピカル模様の、派手派手なスリッポン。 ラクだし、季節感もあるし。 昨年の夏は、そればかり履いていた。 今年もそろそろ暑くなり、スリッポンの出番となった。 ところで、平凡家での小さな出来事として、 「夫ルームパンツ看破事件」というものがある。…

川上弘美と輝夜月

川上弘美の短編集「神様」。 そのなかに、「コスミスミコ」という登場人物が出てくる。 螺鈿の壺をこすると出てくる彼女は、 どうやら「チジョウノモツレ」から人から刺され、幽霊になったらしい。 しかしながら、彼女は愛らしい容姿をもち、 まったくもって…

猫好きの星、保護猫カフェに現れる「猫貴族」

夫婦揃って、猫狂いだ。 最近では、お気に入りの猫カフェを見つけ、 休日はいそいそと出かけている。 わたしたちが通っているのは、譲渡型保護猫カフェ。 保護猫、というのは、捨てられたり、野外で生まれたり、 そんなところを人間に保護された猫のこと。 …

春、自己紹介にかえて

春の休日、川べりを夫婦で歩く。 橋の上から水辺を見ていると、鯉たちが、餌を求めて寄ってくる。 わたしたちは、餌をやる気はない。 鯉たちはあきらめず、パクパクと川面に水紋を広げつづける。 「なんだか悪い気がするね」とその場を離れる。 次の橋からは…

突然の多チャンネル化

結婚してから、なんとなく仕事の調子が悪かった。 仕事の受注は順調なのだが、わたし自身、まったくついていけない。 常に振り回されている感覚があった。 夫は家事と仕事だったら断然、仕事を優先してねという。 夫自身も、休日は、家事を積極的にやる。 仕…

桜が好きかと聞かれたら、はっきりと答えられない

桜が好きか、と聞かれたら、はっきりと答えられない自分がいる。 電車に乗っていて、歩いていて、視界に飛び込んでくる、淡い、淡い、ピンク色。 白にほんのり紅を垂らしたような色合いが、ある日突然、公園を、校庭を、土手を埋めつくす。 若葉が芽吹き切る…