11月いっぱい。いや、その前から頭を悩ませていたこと。
それはベッド。
ありふれた家具であり、おそらく全人口の5割、もしくはそれ以上が使っている寝具。
「ベッド買ったよ~」なんてつぶやきは、インターネットにもリアルにも溢れている。
なのに……こんなに……こんなに……沼だとは。
知識の深さというより、選択肢が多く、価値観が試される。
「迷いの森」といったほうがよいかもしれない。
ベッドを買おうと思った瞬間から、無数の選択肢が広がる。
価格帯はどれぐらいか。
マットレスは何を選ぶか。
だからこそ。
そういった迷いを一掃するために!
デザインもシンプルだし、マットレスを別に選ぶ必要もない。
ベッド初心者にも安心だ。
シングルより小さなスモールをふたつ並べようとした……が、部屋に入らなかったんですよ、これが。
ネットで見かけた、「無印の脚付きマットレスは搬入に注意!」との情報をもとに、無印良品に下見を依頼したところ、
「脚付きマットレスは無理。組立式のベッドとマットレスなら入る」との返答。
建物の共用部分の天井が、2メートル切っているのが致命的らしい。
古い物件は、こういうガッデムなところがある。
脚付きマットレスは周囲をフレームで固めてあるので、ふつうのマットレスよりも判定が厳しいとのこと。
築古物件愛好者で無印良品大好きっ子の皆さんは、下見おススメです。
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最寄店舗に相談しましょう。
で、ベッドフレームを選ぶことになる。
同じ無印良品なら、「板と脚でできたベッドフレーム」をヘッドボード(枕側にある板)なしで使えば、脚付きマットレスに似た形になる。
別売りの脚を入れて、44,900円(以下、すべて税込。サイズはダブルの価格)。
マットレスは別売りだ。
いやでも、「すのこ状のシンプルな台にマットレスを乗せる」だけなら、アイリスオーヤマにだって、格安家具の殿堂・タンスのゲンにだってある。
https://www.irisplaza.co.jp/index.php?KB=SHOSAI&SID=7136341F
[ダブル] すのこベッド 天然パイン 高さ3段階調節 耐荷重200kg *カドリー-TG* 〔11719147〕www.tansu-gen.jp
アイリスオーヤマのベッドなら、17,980円。
マットレス付きで28,980円。
一方、ニトリは14,158円。
格安だが、こちら無垢材。さすが「お値段以上、ニトリ」だ。
無印良品は、なんだかんだで板を張り合わせた「突板」なのだ。
ファッションで知られるジャーナルスタンダードの家具は全体的にお高めだが、この「パクストン」はなかなかシンプルでお値打ちだ。
マットレスとセットで47,300円。
このタイプのデザインで、「マットレスよりフレームが小さい」のは、かなり珍しい。
ベッドサイドでスマホを充電できたら、とても便利。
なので、「宮」(ベッドの枕側に付く棚のこと)がついたベッドも気になる。
「宮」付きベッドは、安価なものほどシンプルでデザイン性が高いものが多いように思う。
逆に、おしゃれで値の張るブランドは、「宮」を付けることは極力避けているような……。
こちらはヘッドボードにコンセントがついているだけのシンプルなデザインで、16,800円。
[ダブル] 宮棚&2口コンセント付 ベッドフレーム 単品 天然木 すのこベッド〔49600787〕www.tansu-gen.jp
ニトリは「単に格安」なイメージがあったのだが、「ものとしては最安値ではないが、素材やデザインを考えるとかなり安い」というセンを攻めた商品も多いと知った。
こちらは落ち着きのあるデザインで、ポプラ無垢材を使っており、59,900円。
フレームに6万円以上出せるなら、unicoやその他ブランドやショップが視野に入ってくる。
マットレスはもちろん別売りだ。
正直厳しいのだが、めっちゃ気に入ったフレームがあればなくはない……かな……出せるかな……ハハ……。
ただ、幸か不幸か、「これ!」と思えるデザインには出会えなかった。
とりあえず、わたしの迷いの軌跡をとりとめなく挙げてみた。
ベッド選びの困難さは、この「とりとめのなさ」にある。
それは洋服選びにも似ている。
家電と違い、「絶対的ないいもの」は存在しない。
2万円未満と無印良品、unicoのベッドフレームで何が違うのかがはっきりしない。
「しっかりしている」が質の高さだとしたら、それが値段に比例するのかもわからない。
デザインとフィーリングで選べば万事解決なのではとも思うのだが、わたしにはそもそも強いこだわりやセンスがない。
洋服と違い、ベッドには「体型」の縛りもない。
ベッドはデカいので部屋に与えるインパクトは強烈ではあるが、その実、目に見えるのはほとんど布団だ。
どこまでベッドフレームのデザインにこだわるのか?
ここで価値観を整理してみよう。わたしの希望は……。
●しっかりしたものがほしい。
しっかりしたものの定義は、以下。
1.長年使い続けられる。
2.引っ越しのさいに分解・再組み立てに耐える。
3.素材の良さに期待ができる。
●しかりしたものであれば、最安値でなくてもいい。ただ、無駄に高いのも嫌。
●デザインはそこそこ気に入ったものがほしい。
●睡眠環境をよくしたいので、あまりにも安いマットレスは避けたい。したがって、マットレスとのセットは不可。
次に、部屋の状態だ。
うちのインテリアを考えるにあたり、インスタで一番参考になるタグは、 #団地インテリア だ。
古くて、個々の部屋は狭い間取り。
壁、その他のしつらえに高級感はない。*1
それを考えていくと、「デザインがめっちゃいいー!」と思うようなベッドは存在感が大きすぎる。
上に挙げたものだと、ニトリのポプラ無垢材のもの。
「宮」付きのベッドにはシンプルなものも多いが、同じ理由で除外。
で、結局、無印良品の「板と脚でできたベッドフレーム」を選択。
価格は品質に比して高いのか安いのか、実に微妙なところ。
見た感じの質感も、もうすこし頑張ってほしいのが本音だ。
ただ、最後は「しっかりしている」可能性を優先した。
安い家具のなかには、再組み立てが難しそうなものが少なくない。
たとえば、木材にネジを直接ねじりこむ工程があるものは、その穴が大きくなればガタつくだろう。
IKEAの大型家具が引っ越し業者に嫌がられることはよく知られるが、それも解体・再組み立てが困難だからだ。
格安ベッドのQ&Aには、「引っ越しのさいには解体して、再組み立てできますか?」という質問が頻出する。
返答は、「理論上はできるが、自己責任」といったものが多い。
うちは賃貸派なので、今後も引っ越しをする可能性は高い。
無印良品のベッドは使用者が多いので、「引っ越しのさいも、業者の人が解体・再組み立てをしてくれた」という声もよく見かける。
(主にIKEAの家具との対比で語られる)
ひょっとしたら、2万円を切るベッドのなかにも、再組み立てがラクラクなものもあるかもしれないが、ネット通販では判断しづらい。
長く使える「可能性」を買うため、44,900円は妥当な金額に思えた。
「板と脚でできたベッドフレーム」は、フレームがとても薄い。
圧迫感が少なそうだ。
フレームの角の丸みも、このベッドにしかない点だった。
マットレスは格安寝具専門店で、専門メーカーとのコラボ商品をチョイス。
マットレスも無数に選択肢がある。
「睡眠の質を決定する」と言われながら、モノがデカいので信頼に足るレビューもない。
そこで、思い切って、フレームとマットレスの合計予算を10万円弱に設定。
これは、無印良品でフレームとマットレスを揃えたさいの値段を基準にした。
それ以上でもそれ以下でもないものから、「品質が高そう」「万人受けする固さ」「湿気に対する対策が考えられている」のものを選んだ。
そして、この週末。
ベッドフレーム、マットレスともに無事到着し、設置が終了した。
無印良品の「板と脚でできたベッドフレーム」の組み立ては、いたってシンプル。
フレームの四隅をネジで留め、やはり四隅に金属製のプレートを置いてネジで留め、脚を付け、真ん中に鉄の棒を渡す。
その上に、すのこ状になった板をセット。
解体も再組立ても、これなら大丈夫そう。
もともと使っていた布団と三つ折りマットレス(ほぼぺちゃんこになっている)を敷いて寝たところ、寝起きの際に立ち上がるとちょっときしむ。
が、新たに買ったマットレスを敷くと、まったくきしまない。
マットレスはクッッッソ重たいのに!
マットレスに横になると、ちょっと体が宙に浮いているような感覚がある。
それぐらい、体が支えられているのだろう。
今までの睡眠環境がひどすぎたので、比較はできないが……。
ベッド選びを通してわかったことは、選択肢の多さ*2、大きな家具を導入するための物理的な体力、所有することのめんどうさ*3。
いまの年齢で挑戦しておいてよかった。
世の中の人たちの「ベッド買った~!」という何気ないひと言に、これほどの思考と決断が隠されていようとは*4。
みんな迷いの森を難なく抜けられる勇者なのではないか……。
と、あらためて世間の人たちのすごさに畏敬の念を抱きつつ、次は「ワークチェア選び」の沼、または森へと足を踏み入れるのであった。
ズブズブ……。
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