平凡

平凡

2017-01-01から1年間の記事一覧

家事にエンタメ性を求めた者の末路

「今日こそこれをやろう!」 ババーン! と擬音が出そうな勢いで夫が差し出したのは、洗濯槽の洗浄剤。 「汚れがごっそり取れる!」「ワカメのようなものが浮いてくる!」とネットで評判の酵素系。 秘蔵の「シャボン玉石けん 洗たく槽クリーナー」である。 w…

変哲のない月曜日

変哲のない月曜日。 夫婦ともども、早めに仕事が切りあがった。 最寄り駅で待ち合わせ、いつもの中華料理屋に向かう。 梅雨の湿気に、気が早い真夏の熱気が混ざり合った空気は、ムッとしている。 この前、同じような偶然があって、仕事終わりに待ち合せたと…

自由に書く、しばられて書く

なんだかんだ、このブログをはじめてから1年半ほどが経過した。 更新間隔が1か月に1回という時期もあったので、 「続けている!」と実感があるわけではない。 それでも、はじめたころの記事は、すでに内容を忘れていたりして、 ああ、それなりに持続したのだ…

「けものフレンズ」と時代

最初に断っておくが、この文章ではアニメ「けものフレンズ」の結末にふれている。 終了からもうすぐ3か月以上たとうとしているが、 2017年冬アニメでは、夫婦そろって「けものフレンズ」を毎週楽しみにしていた。 「けものフレンズ」の舞台は、美少女化した…

眠れる自転車乗りたちの言い訳探しは続く

わたしたち夫婦の共通の趣味のひとつ、それがサイクリングだ。 わたしはクロスバイク、夫はロードバイクを所有している。 当然、2台の自転車は室内保管。 昨年の引っ越しに際しては、 保管場所が確保できる間取り・広さも条件となった。 生活スペースにそれ…

黄金の休日、黄金の長野・野沢温泉 その2

野沢温泉2日目。 朝は早めに起きて、宿から近い上寺湯へ。 熊の手洗湯と、泉質は似ている。 源泉が同じなのかもしれない。 熱めのお湯で目が覚めた。 ……とはいえ、朝食後、ひと眠りしてからチェックアウト。 2日目は、 駅でもらったいくつかのパンフレットか…

黄金の休日、黄金の長野・野沢温泉 その1

梅雨でくさくさするので、 今さらだがゴールデンウィークの話を。ゴールデンウィーク、我が家は長野・野沢温泉へ。 黄金週間は価格も黄金が常ではあるけれど、 なんと価格がふだんと変わらない宿を夫が見つけてくれた。 1泊2食付き8000円台。*1 これは行くし…

小さな継承

わたしは歌うのが好きだ。 と書くと、「歌が上手い」と連想する向きもあろうが、 事実はむしろ反対である。 下手の横好き。 つまり、わたしはいわゆる音痴なのだ。 謙遜で言うようなかわいいものではない。 本気の本気、今様に言うなら“ガチ”である。 さらに…

“家飲み”から“家お茶へ”

もうだいぶ前になるが、友人が結婚した。 挙式は、オーストラリアで。 当然、出席した。 中高生のころから彼女は、 「わたしは、結婚して、子どもを生んで、将来おかあさんになる」 と断言していた。 「まあ、いつかは子どももほしいし」 「やさしい旦那様と…

「いつかあなたにも、そんな相手が見つかるよ」とその人は言った

まず、「ツチノコ」の話をしよう。 もし、世界に「ツチノコ」という概念がなかったなら。 当然、「ツチノコ」を捕まえようとは思わないだろう。 そして、仮に「ツチノコ」を見ても、特異な存在とはわからないはずだ。 「ちょっと太った蛇がいるわ」などと思…

精算する男

もう梅雨も間近だけれど、少し前の話。 フリーランスの春といえば、確定申告である。 結婚以来、夫は毎年確定申告を手伝ってくれるようになった。 腰が重いわたしに再三、夫は「確定申告、だいじょうぶ?」と声をかける。 遅まきながら領収書を集めて渡すと…

異種族としての猫

最近はもっぱら、夫婦で看板猫のいる店巡りをしている。店では、猫と人間が、さまざまな関係をむすんでいる。 それを見るのも、看板猫巡りの醍醐味である。 ある店にいるのは、色柄そっくりな4兄妹だ。 店を訪れると、開店準備中にもかかわらず、店主は中に…

「貧むす」と「夜廻り猫」

スーパーで買い物中。 思うところあって、三つ葉と天かすをカゴに入れる。 夕食後、天かすに白だしとしょうゆをしみこませ、 三つ葉を刻み、余ったごはんと混ぜ合わせる。 明日の朝食にするのだ。 食べてみると、 天かすの油分とコク、 三つ葉の爽やかさと茎…

三つの顔をもつ男

猫に相対するとき、夫は三つの顔を見せる。 たとえば。 土曜日、映画を見て終電近くなる。 そんなとき、商店街を横切る猫の姿。 見慣れないハチワレちゃんである。 我々夫婦は、わああ、とおよそ中年と思えぬ声をあげて、猫を追う。 夫は前にちらっと見た猫…

やるしかないのだ、何度でも

いきなりだが、わたしはいちおう、妊娠を希望している。 そのため、基礎体温を記録している。 基礎体温とは(知っている人も多いと思うが)、 起き抜けに体温計をくわえて測るあれだ。 専用の体温計を使うことで、日々の細かな体温の変化を記録することがで…

夢の永久機関、その名は豆苗

鍋物ざんまいだった冬。*1 苦しまぎれの中華鍋に、豆苗を入れたときだった。 「豆苗って、家で栽培できるんだって!」と夫が興奮気味に言った。 好奇心旺盛な夫は、豆苗のパッケージをふんふんと読んでいた。 そして、「水につければ収穫できます」と、 ご丁…

近所のお祭り、その名状しがたきよろこびよ

近所の商店会が、何か小さな催しをやるという。 入場料に500円を取り、ちょっとした屋台で焼きそばやたこ焼き、焼き芋などを食べさせるらしい。 入場料? 手作りの会で、一律取るのだろうか。 そして、チラシを見ても、食べ物が有料なのか無料なのかわからな…

部活動、そのロールプレイと癒し

運動はとんとできない子どもであった。 暗い顔で、本ばかり読んでいた。 そんなわたしが大学に入ってすぐ、部活動に入った。 大学公認の、純然たる体育会系である。 比較的新しい競技なので、ややゆるい雰囲気ではあるものの、 それなりのしごきもある。 先…

フリーランス駆け出し時代を支えてくれたのは、ビビッドなピンクのケータイだった

特別お題「おもいでのケータイ」 フリーランスになって1年目のころ。 収入の不安定さ以上にこたえたのは、人とコンスタントに話すことのない生活だった。 会社に行って、好むと好まざるとにかかわらず、他人と話す。 そのことが、いかに貴重なことかを知った…

人生はティラミスのように苦くて甘く、記憶はホロホロと崩れてゆく

ティラミス、という食べ物がある。 生地は、エスプレッソが染みこませてあって、苦い。 その間に挟まれたカスタード状のクリームやマスカルポーネチーズは、甘い。 甘い、苦い、甘い、苦い。 ひとつのお菓子のなかに、その繰り返しがある。 生地はホロホロと…

子どもの足音

木造の、古い古いアパート。 間取りは、かろうじてテーブルを置ける広さのダイニング・キッチンに6畳2間がついた2DK。 当然、家族連れが多く住んでいた。 そんな物件に、まかり間違ってひとりで入居したのは、 2011年の2月のこと。 わたしは独身で、夫とは…

「家賃と同じぐらいの支払いでマンションが買えますよ」と人は言うけれど

近所で、中古マンションの出物があったという。 予定のない土日、じゃあ、ちょっと見に行ってみようかとなった。 我が家は基本、賃貸派だ。 ふたりとも、「ローンがあるうちは自分のものになったとは思えない」タイプなこと、 ローン(と修繕積立費、管理費…

人生をコントロールしたい、すこしでも

年末は、年賀状を書いていた。 年々、出す先は少なくなっていく。 自営業者がこんなことでいいのかと思うが、 もうあまり重きを置かなくなってしまった。 もっと言うと、年々、重きを置く気力がなくなっているのを感じる。 大掃除など、家のことは思うとおり…