平凡

平凡

眠れる自転車乗りたちの言い訳探しは続く

わたしたち夫婦の共通の趣味のひとつ、それがサイクリングだ。

わたしはクロスバイク、夫はロードバイクを所有している。

当然、2台の自転車は室内保管。

昨年の引っ越しに際しては、

保管場所が確保できる間取り・広さも条件となった。

 

生活スペースにそれなりのリソースを割いているにも関わらず、

昨年、自転車に乗ったのは何回だろうか。

わたしはたまに、仕事での移動手段として乗っているが、

その機会も住居が都心から離れて、激減した。

平日ライドが難しい夫は、年間、片手で数えられるぐらいしか乗らない。

 

自転車は、我々夫婦の出会いの一端も担っている。

ふたりとも、自転車を買ったときはまだ独り身で、

お互いのこともほとんど知らず、別々の場所、

別々のスタイルで、自転車に乗りまくっていた。

ふたりで付き合うようになったらもっと乗るのかと思いきや、

映画だイベントだとやりたいことがたくさんあって、

めったに乗らなくなったのは意外だった。

 

わたしのクロスバイクはともかく、

夫のロードバイクは盗難が心配なため、

長時間駐輪して何かをすることは難しく、

休日にやれることが限られてくる、というのもひとつの要因だ。

 

そして、一度乗らなくなってしまうと、

乗る前に空気を入れて、自転車を外に出して、

帰ってきたらタイヤをふいて家に入れて……

ああ、出かける前には、サイクルジャージ着て、

ヘルメットとグローブつけて、サングラスもかけなくちゃ……

というのがとてつもなくめんどうくさくなってしまうのだった。

 

それに、春は花粉、初夏は梅雨、

夏は夏バテ、にわか雨の心配もあり、

冬は末端の冷えと、

自転車に快適に乗れるシーズンは案外限られている。

「乗らない」言い訳には事欠かない。

 

それでも、ふたりとも自転車を手放そうとは思わない。

自分の脚の力がペダルに伝わり、

スイスイと信じられないスピードで長距離を走る、

あの気持ちよさを知っているからだ。

 

乗れば、「なんで今まで億劫になっていたんだろう。

こんなに気持ちよいのに」と思う。

それはわかっている。

だから、「乗らない」言い訳と同じぐらい、ほんとうは、

「乗る」言い訳もさがしているのが、

我々“休眠自転車乗り”なのだと思う。

 

梅雨の晴れ間なんて、その言い訳に最適ではないか。

だから、「晴れたらやりたいこと」は、サイクリングだ。

雨が止んだし、まだ夏ほど暑くないし、

このあたりには緑が気持ちいい場所がたくさんあるし。

休日晴れたら今度こそ、そんな“乗るための言い訳”を並べ、自転車で出発したい。

そう思っている。

 

今週のお題「晴れたらやりたいこと」