突然だが、わたしは極度のめんどうくさがり屋だ。
世に「風呂に入って後悔した人はいない」という名言がある。
「風呂は入るまではめんどうだが、入ってしまえばほっこりすっきり、後悔なんてするまいて」というさわやかな言説だ。
言いたいことはわかるッ……!
しかし、わたしはけっこう後悔する。
もっとも気力が落ちている時期に入ると、
まず、服を脱いだ瞬間、「なぜこのようなめんどうなルーティーンが待ち受ける作業に取りかかってしまったのか」と早くも後悔する。
湯船に浸かりながら、「これから体を洗って、髪を洗って、あっ、顔も洗わなきゃ」と茫然とし、
体を洗いながら、一連の風呂上りルーティーンを思い、風呂洗のことを考え……以下略。
これは最悪のパターンなので、ふだんはもうすこし……もうすこしだけ前向きです。
あと、こんなだけど、毎日お風呂入って、歯磨いてフロスまでしてる。
えらくない?
とにかく、すごーいめんどうくさがり屋なのだ。
そんなわたしの家に、食器洗い乾燥機、略して食洗機がやってきた。
「家事は家電(金)で殴れ!」の代表格。
令和の三種の神器の一画を担うといわれる便利家電。
(残りふたつはドラム式洗濯乾燥機とルンバ。たぶん)*1
とはいえ――。
夫婦ふたり暮らしである。
毎日それほど凝った料理をするでもない。
果たして必要なのか。
食洗機使用者、または購入希望者にはよく知られていることだが、食洗機には汚れた食器はそのまま突っ込めない。
夕食が終わると、食器についた汚れをざっと水で流して、ベタベタする食器を食洗機にセットする。
セッティングには、ややコツがいる。
水きりかごのような仕切りがあって皿や椀を立てるのだが、これがなかなか上手くハマらない。
だいぶ慣れてきたが、並べる時間は5分以上10分未満といったところ。
ビルトインはもう少し並べやすいのではないかと思うが、うちは当然、据え置きタイプだ。
この、「汚れた皿をさわって並べる」「正解がない食器の並べ方を都度考える」「食器の並べづらさ」は、ちょっとした負担ではある。
洗剤を投じ、スイッチを入れて食器洗いがスタート。
それだけで二人分の食器とフライパンぐらいはピカピカになる。
かかる時間は、ノーマルコースで100分ほど。
手洗いならせいぜい15~20分程度だ。
楽なのか、これは。
食洗機に入りきらないまな板や作家ものの器(出番はぐっと減った)を手洗いしながら、やはり思う。
楽なのか、これは。
しかし、わたしは何しろ極度のめんどうくさがり屋なのだ。
楽でなければ、食洗機なんて絶対に使わない。使うわけがない。
では、何が楽になっているのか。
思えば、「洗い物」は目視確認と判断の連続だ。
洗剤を使うか使わないか、使うとしてどれぐらい使うか。
汚れは落ちたか。
すすぎは十分か。
ちいさなシンク内で、「洗う」動作をどうやりくりするか。
水が跳ねない流水のかけ方とは。
手をすべらせて皿が割れないか。
水きりカゴは空になっているか。
水切りカゴに洗った皿や調理器具をどう並べるか。
大型の鍋などをどう乾かすか……。
一部をルール化しつつ、一部を都度都度判断しつつ、ある程度手先に集中しながら「洗う」という作業をこなす。
それらの細々した判断や、多少の繊細さを要する手作業を、「ちょっと考えて、食器を並べる」にほぼ一本化できるのが、食洗機のよさなのだろう。
汚れをざっと流すさいは、それほど判断はいらない。
並べるとき、手をすべらせる心配も(それほど)ない。
少なくとも我が家の構成、ライフスタイルだと、食洗機のメリットはそうなる。
これが、家族が4人以上いる家庭になると、皿の数が多いので、もっと単純にメリットが感じられるのではないか。
また、乳幼児がいる家庭なら、除菌機能がついた機種で、哺乳瓶などを手軽に清潔な状態にできるのは大きなメリットかもしれない。
何より、子育ては膨大な判断と作業量が必要だ。
「素」の家事の量と状態が、大人ふたりの家庭とは大きく変わってくるだろう。
なんだかまだまだモヤッとしているが、食洗機は、皿洗いの「作業」の一部と、「判断」の大半を肩代わりしてくれている、という結論に落ち着きつつある。
こうして考えてみると、ドラム式洗濯乾燥機、または浴室乾燥機は、さらにわかりやすく家事を楽にしてくれるだろう。
洗濯は、洗う→干す→取り込むと行程が三段階あり、「この天気で外に干すか」「この時間から乾くのか」「この洗濯物は乾いているのか」など、外的条件に左右される部分や判断があり、それを帳消しにできるからだ。
(そのかわり電気代は必要だ)
また、現在、うちは夫婦ふたりとも在宅時間が長い。
これが外仕事が増え、限られた在宅時間で皿洗いをするとなれば、もっと「楽」が感じられるのかもしれない。
どんな「楽」を享受できるかは、食洗機の大きさと運用にも左右される。
うちは「夕飯に使った調理器具と食器をまとめて洗う」を重視し、大きめの食洗機を選んだ。*2。
小さめの機種を選び、昼と夜、2回ぐらい回して、「小物はとにかく食洗機任せ」にする方法もあると思う。
食洗機は楽だ。
ただ、その楽さは、うちの場合、なかなか言語化できない類のものだった。
が、そこはめんどうくさがり屋であることが功を奏し、「これほどめんどうくさがり屋の自分が『楽』と感じるのだから、『楽』なのだ」と、食洗機導入を肯定的にとらえることができた。
めんどうくさがり屋であることにも、意外なメリットがあったものだ。
いや、メリットなのか……これは?
ともあれ、分岐水栓が必要だったり、置き場所が限られたりで、「買うか買わぬか」の迷いの種類が、他の家電とはすこし違うのが食洗機。
誰かの悔いなき選択のしるべになればと思い、書き記しておく。
写真は
《広々なキッチンのフリー素材 https://www.pakutaso.com/20211230337post-37884.html》
*1:最近はホットクックも加わっている気がする
*2:使用機種はAQUAのGM3。5万円ちょいでした。庫内がステンレスであること、扉がガラスで中が見えることを理由に選択。
「選択」と書きましたが、食洗機は分岐水栓型はメーカーがほぼ2社のみ。機種は大変少なく、選択肢はパナソニックの小サイズ、AQUAの中サイズ、パナソニックの大サイズ。置ける場所と、希望の大きさでほぼメーカーも機種も決まってしまうのが現実です。
https://aqua-has.com/cp/komono/adw-gm3
庫内のプラスチックが一部折れている初期不良がありましたが、カスタマーサービスに電話したら、スタッフさん訪問により扉を付け替えてくれて、アフターサービスもよい感じです