平凡

平凡

フリーライターってどうやって仕事もらってんの?

f:id:hei_bon:20220115224911j:plain

フリーランスって、どうやってお金稼いでるの?」

これはよく聞かれますし、独立前後の不安は、「ほんとに仕事、入ってくるのかな~」に尽きます。

わたしも同様の不安を抱きつつ、見切り発車でフリーライターになり、約一年後には、そこそこ食えるぐらいになりました。

では、どうやって仕事が広がっていったのか。自分でも振り返るために、そして、ジャンルにかかわらず独立したいな~と思っている人の参考になればと思って書いてみます。

 

 

前提

前提として、わたしは紙媒体中心(その派生でWebでも書く)で仕事をしているライター。独立前は未経験*1から編集プロダクションに入り、そこでライター仕事を覚えました。在籍は1年半ほど。独立からは10年超。本業でこれ一本です。

 

編集プロダクション(以下、編プロ)とは、出版社の下請け業務を行う会社のこと。一部企画、あるいは一冊の本の編集作業を丸請けする会社もあれば、記事単位のライティング業務中心のところもあります。規模もまちまち。

編集者やライターになりたい場合、この業態の会社に勤めるのは代表的な方法のひとつ。普通に求人しています。

 

もうひとつ、本記事でのライターの定義は、次のようなものです。「一次情報を集め、何かの紹介や説明を書く人」「主観的ではない文章が中心」。エッセイ系や、ライターの個性がかなり出る系(いわゆる”読モライター”)は前提にしていません。

 

仕事の一例

まず、いまある仕事の一部を書き出してみましょう。

 

出版社A社「A誌」

編プロB社「WebメディアB」ほか

出版社C社「C誌」

出版社X社「X-1誌」「X-2誌」など複数

編プロD社 X社の下請けをしている編集プロダクション。「X-2誌」の細々レギュラー仕事をふってくれている。

ほかにもありますが、特徴的なものだけあげています。

 

「細かい仕事」がウケたA誌

いちばんお付き合いが古いA誌。もともとA誌とお付き合いがあったのは、編プロ時代の先輩でした。先輩が独立して産休を取るとき、ピンチヒッターとして、A誌の仕事の穴埋めすることになりました。それが、わたしの独立最初期の仕事です。

打ち合わせのとき、挨拶がてらポートフォリオを持って行って見せたんです。ある仕事を目にしたとき、担当の編集さんが若い編集さんを呼びました。それは、こまかーい商品紹介がたくさん入ったページ。若い編集さんはそういったページを外注したいけれど、「こんな細々した仕事を頼まれて、ライターさんは気を悪くしないか?」と心配していたそうです。ポートフォリオに入れて見せてきたライターなら、遠慮なく頼むことができます。産休ピンチヒッターに加えて、そこで「細々仕事」をゲットしました。「細々仕事」は、月1のレギュラー。フリーにとってはありがたい仕事です。

「細々仕事」は10年つづき、のちに経費削減で社内仕事に戻されました。ただ、その「細々仕事」から派生して、ほかの記事やA誌以外の媒体でも声がかかるようになりました。A社は今でもかなりのお得意様です。インタビュー、店やなんやらの取材、業界人取材、あるいは細々した作業が多い仕事まで。いろいろいただいています。

 

仕事を紹介「する」こともあります、というわけでB社

これも編プロ時代の先輩のひとりがご縁のもと(A社関係とは別の先輩)。転職するたび、仕事をふってくれます。ありがたや……。しばらく連絡していなかったのですが、わたしが別の仕事で、「育児ネタの記事がある」とクライアントから声をかけられたんですね。子どもがいる人のほうがベターじゃない? と思い、「そういえば先輩はいま、何をしているのかな? 先輩は子どもいるし」と声をかけました。その別件は、先輩が請けてくれて、クライアントからたいへん喜ばれました。

そして、わたしも先輩から「こんな仕事あるけどいかがですかー」と声をかけてもらいました。さらに、先輩が現在所属している会社の、別の社員さんからも、声がかかるように。

 

“社内口コミ”のC社

B社の話に出てきた「編プロ時代の先輩」が以前、在籍していた雑誌。先輩がやめてからも、ほかの編集さん数人と取引があります。「ライターさんがつかまらない!」「この人どう?」みたいな会話があるらしく、キーとなる人以外との仕事がはじまることは多いです。“社内口コミ”とでもいうのでしょうか。

つながりが複雑に広がりまくったX社

これも、キーになる人以外との仕事がつながって、つながって、いまに至るケース。もともと編プロ時代に仕事をした編集さんがキーでした。そのつながりで、「平凡さん、独立したんだって? 平凡さんが強い分野だからどう?」と、ある人を紹介してもらったんです。それがX社のWさん。当時はまだ珍しかったポータルサイトのオリジナル記事でした。記事はWさんやポータルサイトの担当者には好評でした。

 

そして、Wさんが紹介してくれたのが、D社でした。「ウチと取引のある編プロが、このジャンルで定期仕事をしてくれる人を探している」という話だったと思います。ここも10年以上取引が続き、ありがたい定期収入となっています。

 

Wさんがハブなのか、D社がハブなのかもう覚えていませんが、巡り巡ってX社の他の媒体複数でも書くようになりました。ここも社内口コミが広がった形です。

ただ、X社から直接仕事を請けるとき、D社には、「いちおうこういう仕事がきているが、やっても構わないか」と確認を取ったことは覚えています。D社はX社の下請けです。別の仕事とはいえ、D社をすっとばしてX社と取引していると思われたら困るので。D社からは、「ウチの仕事とはぜんぜん別なので、かまいませんよー」とお返事いただきました。

ところで……。Wさんがいま、どうしているのかわかりません。いちばん古い付き合いのあるX社の編集さんも、Wさんのことは知りません。

結論「知り合いの知り合いの、ぜんぜん知らない人」は信用される

今まで書いたものを読むと、「つながり」といっても、けっして強いものでなくてもOKなことが、なんとなくわかるんじゃないでしょうか。この形態で働いていて思うのは、信用性の高さは

「知り合いの知り合いのぜんぜん知らない人」>>>(越えられない壁)>>>ぜんぜん知らない人

ってこと。

デマなんかも、「〇〇さんの知り合いの知り合いの看護師が言ってたんだって」と広まったりしますよね。こちらはネガティブな効果ですが、原理は同じです。

 

駆け出しが仕事を広げるためのTips「ポートフォリオ持参のすすめ」

駆け出しのころは、挨拶のときに必ずポートフォリオを持参していました。A社のように、それがきかっけで仕事が広がることが多かったです。みんな、けっこう人を探しているんです。ポートフォリオは編集さんとの会話のきっかけにもなります。「なんか見ながら話す」って、人見知りにはとても心強いことです(笑)。いまなら、オンラインで「こんな仕事もやっているので、よかったら見てください」とURLを送るのもいいかもしれません。

 

前にも書きましたが、ふとした雑談が仕事につながることも多いです。「平凡さん、あれ好きって言ってたね。あれ系の記事を書く人探してる同僚がいるんだ」とか。

hei-bon.hatenablog.com

知り合いのカメラマンさんはボクシング観戦にハマり、「ボクシングおもしろいんですよ! それ系の仕事あったらください!」と言い続けて、ついに仕事をゲットしていました。

 

最初の1件目をつかむTips「飛び込み営業は効率が悪いけど、捨てたもんじゃないはず」

「いうても編プロ時代のつながりじゃん」と思った方は、ちょっと待ってほしい! たいした話はできないが……!

編集者やライターは、新しいモノを作っています。だからこそ、常に新しさを求めている人も多い。知り合いの安心感ほどではないけれど、“飛び込み営業”がまったく無駄ではない世界だと感じます。

この業界の“飛び込み営業”として、やりたい媒体に連絡し、ポートフォリオを送るのはアリです。実際、カメラマンさんやイラストレーターさんで、そうして仕事を得た人を見たことがあります。というか、イラストレーターさん(挿絵系)にお仕事お願いするときは、たいてい送られてきたポートフォリオから選んでいました。雑誌が減り、雑誌でイラストが使われることも減った昨今、なんともいえませんが。

冒頭で「たいしたことは言えない」と断ったのは、自分自身、そういった営業はほぼしたことがないから。

ただ、今の形で独立する直前に、故郷に戻ってフリーになれないか模索したことがあったんですね。そのときは地域のフリーペーパーなどの奥付を見て、ポートフォリオとともに「ライター仕事を探している」と手紙を書いて送りました。4社送って、運よく4社とも会ってもらえました。単価が安いのと、どうしても実用レベルの車の運転ができないのであきらめました*2。出身地に戻ってフリーライターをやっている人も知っているので、やりようかもしれません。

 

ライターになりたい! 未経験の人は何をすればいいの?

未経験の人がどうやって経験を積むか。糸口をつかむか。

専業でOKなら、王道は編プロ入社です。またはどこかの編集部のアルバイト。ただ、ネットで「ライターになりたい」と書いている人の多くは、副業にしたい、在宅稼業をしたい、という印象を受けます。

ライターに関していえばひとつアイデアはあるのですが、ちょっと無責任に言えないところがあります。細かくは説明しませんが、請け負った仕事じゃなくてもいいので、「こんなものが書けます」と見せられるものを作って、書きたい媒体に連絡を取って見せるってこと。見せるものは、書きたい媒体に載っているような内容、または何かを説明、紹介しているものがいいでしょう。「作って見せる」って、すごく強いです。でもそれって、みんながなりたい「Webライター」ではないのかもしれないですね。

 

クラウドソーシング系の仕事を繰り返し、良質の仕事をつかむ」方法もあるとは聞きますが、わたし自身も、そしてまわりにも、クラウドソーシングを使っている人がいないのでよくわかりません。

ブログのアフィリエイトで稼ぐのは、自主性が強いフリーランスと言えましょう。ただ、請負仕事をするのをライターと定義するなら、違ったカテゴリーの仕事です。

 

ちなみに、ツイッターでは仕事が広がることが多いです。

 

能動的な人もいっぱいいる

わたしはどちらかというと受け身での人脈の広がり方を書きましたが、やりたいこと、書きたいことがある同業者は、自分からどんどん企画を持ち込んで、仕事や人とのつながりを広げています。そうしていると、「自分はダメだけど、この人ならどうか」と人を紹介してもらえることもきっとある。もっともっと能動的な人もたくさんいるし、違うやり方もいろいろあるはず。

そして、最初からWebが主戦場のライターさんには、違った広げ方があるのかなと思います。

 

参考になりますでしょうか? なるといいなと思いながら、わたしの狭い範囲での体験談を書いてみました。

 

画像は《札束を背負ってきた豚の貯金箱のフリー素材 https://www.pakutaso.com/20191240357post-24984.html

*1:新卒で入った会社も編プロでしたがジャンルが違い、そこでの経験はほぼ役に立っていません

*2:そのとき得た知見だと、地方で出版系の仕事をやりたい場合、印刷会社の制作部とかに所属する方法もあるみたいです