今日は結婚生活とはまったく関係のない、仕事について書こうと思う。
この記事の脚注で書いたことについて。
フリーランスになって、10年たった。
「フリーになりたいけれど、仕事が来るか不安」。
同業者からそう聞くと、わたしは
「うれしい! 楽しい! 大好き! でなんとかなりますよ」と、
人気歌手の曲名のようなことをアドバイスしている。
ところで、フリーランスになって驚いたことのひとつは、
発注主は、外注業者に意外と気をつかっているということだ。
「この仕事、嫌じゃないですか」
「この分野、興味ありますか」
そう聞かれることが多い。
「こちらが発注する側でござい」とふんぞり返っているような人には、
少なくともわたしは会ったことがない。
適性のある人のほうが、やる気があってよいものが作れると考えている可能性もあるが、
わたしが見ている印象では、「どうせなら楽しく仕事してほしい」が強くある気がする。
また、仕事をふることを、「迷惑になるかもしれない」と考えている人も多いように思う。
いやいや、仕事もらえるってありがたいことに決まってるじゃん! と思うのだが、
ふる側は不思議と恐縮している。
共通の知人に仕事をふりたいという発注者から、「あの人にうけてもらえるか、迷惑ではないか」と相談をうけたりするので、
わたしが恐縮させているわけではないと思う。
しかし、この心理は、仕事をふる側になるとわかる。
わたしも他の職種のフリーランスに仕事をふることがあるが、「こういうの、興味あるかな」「嫌じゃないかな」と考える。
そのように気をつかいながら仕事の打診をしたとき、「あっ、その分野、興味あったのでうれしいです」と言われると、心底ほっとする。
仕事の合間に、「これこれこういう感じで楽しいですね~」と言われると、ますますほっとするし、
ああ、次もお仕事をお願いしてもいいんだなと思う。
そんなわけで、発注側は常にマッチングを気にしている。
なので、「これが好き!」と口にしておくことは、仕事を回してもらううえで、非常に有効だ。
別に無理してアピールする必要はない。
自然に、自分が好きなことを、雑談のなかで話すだけだ。
案外、発注者はいろいろな分野で人を探しているものだ。
その分野の仕事が発生したとき、声をかけてもらえる確率は高くなる。
わたしは過去、言ったその場で「実は、そういうことに興味がある人を探していたんです!」となって仕事につながったこともあった。
それらを総合して、「うれしい! 楽しい! 大好き!」と表現している。
ある種のものづくりや出版、イベント系の仕事は、フリーランスに限らず、同じ道筋で話や世界が広がっていくことが多いように見受けられる。
この世界では、驚くほど「人からの紹介」が強い。
売り込みよりも、
「いつも仕事している某さんの知り合いだから(ただし会ったことも、成果物を見たこともない)」
「(会ったこともないけど)某さんから、何々がお好きだと聞いて」で仕事がきたりする。
つまり、「うれしい! 楽しい! 大好き!」とやって、ウキウキ仕事をしていれば、自然と輪が広がっていくのだ。
それと、期日は守る、守れないときは早めに連絡すること。
当たり前かもしれないが、これは大事だし、逆にこれができれば基本大丈夫ともいえる。
フリーランスってどうやって仕事を取っているの、生活しているのとよく聞かれるけれど、
人の輪のはしっこをひとつつかめさえすれば、案外、こういった普通のことをやっているだけで仕事は途切れない。
まわりを見ていても、そう思う。
むしろ、まじめな人は、独立後1~2年すれば、仕事が途切れる心配よりも、仕事が集中したときにどう処すかが悩みどころになっていることがほとんどだ。
もちろん、基本的技術は必要だし、技術は高いにこしたことはない。
ただ、職人的な仕事であれば、ある程度の技術があれば、「楽しく、きっちり仕事をこなす」ことで次の仕事へとつながっていくと思う。
「うれしい! 楽しい! 大好き!」が「たったひとつ」と言えるのか、
「期日守るでふたつ目では」など疑問もあるのだが、