さかのぼって、1月1日。
わたしは新年のエントリーを書こうとしていた。
着手したのは、23時。
「挨拶や抱負について書くなら、1月1日中にアップしたい」。
そう考えて、タイマーをかけてブログを書き始めた。
使っているのは、ポモドーロ・テクニック用のポモドーロ・トラッカー。
ポモドーロ・テクニックについては、ご存知の方も多いかもしれない。
やる作業を決め、25分作業をしたら、5分休憩を挟む。
これは基本の形で、作業30分、休憩10分などに設定している人も多い。
短い時間、ひとつのタスクに集中することで、生産性を上げる、とされている。
発案者(イタリア人)が最初に使ったのが、トマト型のタイマーだったことから、この名が付いたという。
イタリア語で、トマトはポモドーロというらしい。
わたしが先ほどURLを貼り付けたポモドーロ・トラッカー含め、関連ツールにトマトのアイコンが多いのはそのためだ。
ここ4年ほど、そのポモドーロ・テクニックを愛用している。
導入のきっかけは、ライフハック的な記事に、「仕事の集中力を高める!」と書かれていたことだ。
ごたぶんにも漏れず、わたしは常に集中力散漫なことに悩んでいた。
そのうえ、「このテクニックを使うことで、クリエイティビティも大幅にアップするのです」とか書いてある。
ホンマかいな。
あまり期待せず取り入れたこのテクニックは、「仕事への集中力」以外の大きなものをもたらしてくれた。
それは、時間に対する感覚だ。
前提として、わたしは時間や計画の見積もりがかなり苦手だ。
そして、わたしのポモドーロ・テクニックに欠かせないのが、先ほど紹介したポモドーロ・トラッカー。
ただのタイマー、あるいはタスク管理を兼ねた複雑なアプリも使ったことがあるけれど、結局はこのトラッカーに戻ってきてしまう。
なので、テクニックの長所と、トラッカーというツールの長所は不可分なものとなっている。
ポモドーロ・トラッカーのよさは、1ポモドーロ(25分)に対し、簡単なto doリストを書き込める点。
1行程度しか書き込めないので、深く考えずにガンガン打ち込んでいく。
一般に、何かを始めるときは、負荷が軽い作業からはじめるとよいとされている。
「とりあえず、to doリストだけなら」と考えると、腰が軽くなる。
それと、「やらなきゃいけないこと」が目に見えるようになると、人は安心するものだ。
ときには、「こんなにあるの……」と絶望するが。
UIがシンプルなので、to doがひと目で見える範囲に並ぶのもいい*1。
ポモドーロ・テクニックとあわせ、長期のスケジューリングもできるようなツールだと、まずこのto doの作成で挫折する。
長期のスケジュールを設定しなければいいのかもしれないが、圧倒されてしまうのだ。
ポモドーロ・トラッカーはシンプルだ。
「やらなきゃいけないこと」を書き出して、「それって25分で終わるかなあ」と考えさえすればいい。
to doリストの隣には、「そのポモドーロが終わるのが何時何分か」が表示される。
休憩も込みの計算である。
時間の見積もりが甘いわたしでも、トラッカーの助けを借りて、「それなりに現実っぽい終了時間」を知ることができる。
これは大きな恩恵だ。
時間の見積もりが苦手な人間は、「考え方が甘い」以前に、本当に見積もれないのだ。
考え始めたとたんに、糸がもつれるかのように思考が乱れてしまう。
そこを、ツールが助けてくれる。
ポモドーロ・トラッカーを愛用している理由はほかにもいくつかある。
to doリストが残っている状態で、休憩終了後に「スタート」を押さないでいると、「何分の遅れ」とカウントしてくれる。
休憩時間、ついついツイッターを開いて夢中に……といった場合に、「何分サボっていたか」が可視化されるのだ。
時間見積もりができない人間は、時間感覚にうとい。
サボったときは、「なんかいっぱいサボっちゃったよ~」とやたら自責するか、「ちょっとだけだった」とざっくり言い訳するか、その二択だ。
数字があると、「わたしは何分ツイッターを見ていた」と冷静に受け止められる。
ときには「このタスクはちょっと重すぎて、逃げたいのかも。細かくしたほうがいいかも」と対処を考えることもできる。
これはテクニックそのもののメリットだが、ポモドーロ中に気がそれた場合、25分に1回、我に返してくれるのもありがたい。
もちろん、ポモドーロ・トラッカーに打ち込んだとおりに仕事が終わるとは限らない。
が、もしも作業が25分で終わらなかった場合は、「繰り返し」をクリックするだけ。
「繰り返し」クリックが重なると、自然、「思ったより難敵だぞ」「こういう作業は苦手かも」と、冷静な振り返りへとつながる。
気軽にタスクをto doリストに打ち込む。
必要があればその都度ポモドーロ(25分)を追加する。
「この作業はだいたい3ポモドーロかかるのかー」と、なんとなく把握する。
それを繰り返しているうち、作業時間の見積もりが、比較的正確にできるようになった。
ただし、「ポモドーロ・トラッカー」に打ち込んだときのみ*2。
限定的とはいえ、これは相当に助かる。
25分は短いが、過集中気味になったときに、我に返してくれる効果もある。
アラームが鳴ったら、「やり続けるか、手を止めるか」を一瞬考える。
わたしの場合、こういったピリオドがあったほうが、ノーリミットよりも最終的な合計集中時間は伸びる。
ノッているときは、休憩を飛ばせばいい。
そんなわけで、集中したいときや時間を区切りたいときは、家事でも仕事でもブログでもなんでも、ポモドーロ・トラッカーをかけている。
本来の使い方とは若干ズレているような気もするけれど……。
冒頭にあげた新年のエントリーを書いたときは、集中や自分の追い込みというより、「見積もりが知りたい」思惑が強かった。
日付が変わるまでに書き上がらなかった場合も、トラッカーをかけておけば、必要な追加時間が予測できる(逆に言うと、トラッカーをかけないと予測しにくい)。
そのうえで、その日のうちに最後まで書き上げるか、明日つづきを書くか判断しよう、というわけだ。
ポモドーロ・テクニックは、わたしにとって、時間感覚の外部委託だ。
集中したい人のみならず、過集中を防ぎたい、時間の感覚が鈍い、見積もりが甘い、そんな人にもおすすめのお助けテクニックだ。
見積もり下手の同志たちよ、「なんでいつもダメなんだろう」と責める前に、タイマーをかけよう!
生き残っていこう!
現場からは以上です。
写真は《水滴がついたフレッシュミニトマトのフリー素材 https://www.pakutaso.com/20150352062post-5230.html》