平凡

平凡

鍵をかける

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フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com) photo by エリー

 

扉を閉めて、鍵をかける。

ちゃんと閉まっているか、確認する。

そのとき、疑問が浮かぶ。

わたしは、いま、なんのために鍵をかけているのだろう。

 

ところで先日、引っ越しをした。

いつものことながら、引っ越しは嵐のよう。

バタバタとして、今回もあまり計画通りには運ばなかった。

残置物がいくつか出てしまったので、何度か旧居に行き、

運び出したり整理したりしている。

さいわい、新しい住まいはそれほど遠くはない。

 

荷物をあらかた運び出し、あとは掃除を残すだけ、という日。

ひとりで扉を閉めた瞬間、冒頭の疑問が浮かんだ。

守るべき家財はなく、住まった年月なりの汚れと、何匹かの蜘蛛だけが残った部屋に、

わたしはなぜ、鍵をかけているのだろう。

ドアノブをガチャガチャやって、確認までして。

 

もちろん、侵入者があって荒らされては困る、などの理由はいくつか思いつく。

しかし、三日ほどまで住んでいたころ鍵をかけていたのは、そんな理由ではなかったはずだ。

家財を守り、休んでいる最中に不届き者に襲われないこと。

それが施錠の主目的であったはずだ。

 

いま、わたしが鍵をかけた目的は、そのいずれでもない。

繰り返していたから、繰り返しただけの、反射的な行為。

 

そのときわたしは、もうこの部屋の住人ではないのだと悟り、

明日には返却することになっている鍵を、キーケースにしまった。

 

というわけで、今月の目標は、荷解きをすすめること。

もうひとつ、この嵐のような引っ越し余波で、体調を崩さぬことです。

 

 

 

今週のお題「今月の目標」