扉を閉めて、鍵をかける。
ちゃんと閉まっているか、確認する。
そのとき、疑問が浮かぶ。
わたしは、いま、なんのために鍵をかけているのだろう。
ところで先日、引っ越しをした。
いつものことながら、引っ越しは嵐のよう。
バタバタとして、今回もあまり計画通りには運ばなかった。
残置物がいくつか出てしまったので、何度か旧居に行き、
運び出したり整理したりしている。
さいわい、新しい住まいはそれほど遠くはない。
荷物をあらかた運び出し、あとは掃除を残すだけ、という日。
ひとりで扉を閉めた瞬間、冒頭の疑問が浮かんだ。
守るべき家財はなく、住まった年月なりの汚れと、何匹かの蜘蛛だけが残った部屋に、
わたしはなぜ、鍵をかけているのだろう。
ドアノブをガチャガチャやって、確認までして。
もちろん、侵入者があって荒らされては困る、などの理由はいくつか思いつく。
しかし、三日ほどまで住んでいたころ鍵をかけていたのは、そんな理由ではなかったはずだ。
家財を守り、休んでいる最中に不届き者に襲われないこと。
それが施錠の主目的であったはずだ。
いま、わたしが鍵をかけた目的は、そのいずれでもない。
繰り返していたから、繰り返しただけの、反射的な行為。
そのときわたしは、もうこの部屋の住人ではないのだと悟り、
明日には返却することになっている鍵を、キーケースにしまった。
というわけで、今月の目標は、荷解きをすすめること。
もうひとつ、この嵐のような引っ越し余波で、体調を崩さぬことです。
今週のお題「今月の目標」