平凡

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『ベルセルク』連載再開! 今こそ『ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り』を読んで三浦健太郎さんと森恒二さんの関係を(さらに)知ってくれ!

6月7日火曜日は、世界中の漫画ファンがわいた日!

なんと『ベルセルク』連載再開が発表されたのです!

www.hakusensha.co.jp

知っての通り、『ベルセルク』は世界中にファンがいるダーク・ファンタジー。作者・三浦健太郎さんの急逝により中断していました。

その連載再開が、白泉社の「ヤングアニマル」編集部から発表されたのです。

続行の方法は、作画を三浦さんのスタッフが、ストーリーなどの監修は三浦さんの親友であり、『創世のタイガ 』『ホーリーランド』などで知られる漫画家・森恒二さんが担当。そのうえで、編集部の方も森さんも、「三浦さんがそう言っていた」ことだけで構成する、それ以外は何も足さないと宣言。

 

三浦さんと森さんの親交はしばしば語られていますし、連載再開に寄せたメッセージの熱からも、ビシビシその関係性が伝わってきます。

三浦さんご逝去後の2021年9月、『ベルセルク』特別メモリアル号となった「ヤングアニマル」18号の付録小冊子にも森さんは寄稿しています。

森さんのTwitterにもおふたりの親交があらわれています。

 

 

で、いまこそ読まれてほしいなと思うのが、ニコ・ニコルソンさんの作品『ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り』です。

『ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り』は、白帯漫画家のニコ・ニコルソンさんが道場破りという形で第一線で活躍する漫画家を突撃取材! デビューからヒットまでの経緯、魅力的な作風がどう生み出されているかなどをレポートするというもの*1

単行本は全2巻。単行本は1巻、2巻のナンバリングではなく、『ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り』が1巻(2013年刊)、『『ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り 破』が2巻(2016年)となっています。

めちゃくちゃ豪華な漫画家の方々を取り上げている同作、1巻には三浦さんと森さんの回がそれぞれ収録されているんです。

 

各回2ページで三浦さんが全3回、森さんが全5回*2

三浦さんのほうでは、森さんとの交流、『ベルセルク』誕生秘話、ファンタジーだからこそリアリティにこだわっている話、女心に困ったときは森さんを召喚する……などなどが語られています。

で、森さんのほうは、デビューから『ホーリーランド』がヒットするまでの苦闘、自分だけの武器を見つけるまで、いまでも漫画を描くうえで気をつけていること……などが全5回にわたって語られており、その全回に三浦さんの話が出てきます。

「三浦君は現代のミケランジェロだ!」

「何でもやらなければ三浦には勝てないからね」

「ずっと隣にいた俺にはわかる。彼は天才だ」

若き日の出会いと切磋琢磨から、お互いに一線の漫画家になってからもネームを見せ合う関係。

短いページ数にふたりのトップクリエイターの交流が詰まっており、胸が熱くなります。

そして三浦さん回、森さん回をあわせて読むと、おふたりの漫画道に加え、お互いをどう見ていたかが伝わってくるんですね。

 

わたしはおふたりの交流が語られている資料をほかにたくさん読んでいるわけではないので、ここで語られる内容がどれぐらい目新しいのかわかりません。

ただ、「漫画家が漫画家の歩みと制作をレポートする漫画」である『ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り』だからこそ見えるものがあるのではないか……と思っています。

 

『ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り』で突撃されているのは、以下の漫画家の方々*3

三浦建太郎さん

甘詰留太さん

羽海野チカさん

重野なおきさん

森恒二さん

文月晃さん

えりちんさん

若杉公徳さん

きづきあきら+サトウナンキさん

柴田ヨクサルさん

 

続く『ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り 破』は……。

森繁拓真さん

押見修造さん

ももせたまみさん

押切蓮介さん

古屋兎丸さん

羽海野チカさん(1巻に続き)

花沢健吾さん

羅川真里茂さん

ヤマザキマリさん

二ノ宮知子さん

石黒正数さん

 

限られたページ数でありながら、各漫画家の方々の魅力的な作風がどう生み出されているか、よくわかる内容になっています。なんというか、「そうそう、そこ聞きたかった!」感がすごい。

 

そしてなんと三浦さんの回は、こちらですべて試し読みができます!

気になった方はぜひチェックして、ぜひ単行本で森さんの回も読んでほしいと思います。

www.hakusensha.co.jp

 

この本、紙の書籍の新刊本がまだAmazonの在庫にあります。

Amazon.co.jp - ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り―白帯マンガ家が第一線のプロ作家に突撃取材! (ジェッツコミックス) | ニコ・ニコルソン |本 | 通販

刊行が2013年、2016年の紙の本の在庫があるのは、すごく珍しいこと。各漫画家先生のファンの方々が、手に取り続けているからかなと思っています。

情報がぎゅうぎゅうに詰まっているので、電子書籍で拡大しながら読むのもおすすめです。

 

6月24日からの『ベルセルク』連載再開前にチェックしてみてはいかがでしょうか。

と、もうひとつ……森恒二さんの最新作『創聖のタイガ』はもちろん、『ホーリーランド』もめちゃおもしろいのでぜひ読んでください!!!!

ケンカを通して人間の弱さを見つめた名作なのです……!

*1:この単行本と前後して、ニコ・ニコルソンさんは自身の東日本大震災での経験を描いた『ナガサレール イエタテール』で注目を集めました。『道場破り』では、「白帯漫画家」役ではありますが、白帯っぷりから人気漫画家の技を聞き出す……という漫画構成は巧みで、結果的に「この人、白帯ではないな」と思わせる作品でした。ニコ・ニコルソンさんはその後も『婆ボケはじめ、犬を飼う』などおばあ様の認知症を描いたエッセイコミック、最近ではオリジナル作品の『古オタクの恋わずらい』などで活躍されています

*2:ほか、各人「延長戦」としてちょっとしたおまけあり

*3:白泉社の企画なので、白泉社でお仕事経験のある方々です