平凡

平凡

遠大な軌跡を描く惑星が、ほんの一瞬、接近するように

春近し。されど、寒い。そのせいか、さみしいことを考える。

 

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わたしがこのブログをはじめたのは、7年前のこと。そのころに読者登録をした、あるいはしてくださった人で、アカウントが稼働しているのは3人ぐらいだろうか*1

 

当時は、「雑記ブログで稼ごう!」というムーブメントがあった。はてなブログはそれに強いとかで、「1日10記事アップします!」など頻回更新宣言や、収益を公開している人がけっこういた。いまも「収益を上げよう」というブログは見かけるけれど、当時よりは盛んではないように感じるし、何より収益やPVなどの強調の仕方が控え目なように思う。

そういったブログを好んで読んでいたわけではないし、読者登録をしていたわけでもない。彼らは検索流入によるアクセス獲得を目標としていたはずで*2、わたしは読者対象でもない。ただ、遠くからにぎやかだなと眺めていた。

いまはそういったひとたちは、どこかへ行ってしまった*3

昼間、子どもたちが遊んでいた公園に、夕方になってもひとりでいる。もう子どもたちの喧騒も聞こえない。そんな気持ちになる。

 

アフィリエイトを押し出したブログだけではない。定期的に長文テキストを書いていた人たちも、軒並み入れ替わった*4。おもしろい文章を書いて、読者もたくさんいて、時としてプロフィールに「Pro」がついていたひとたち。たぶん、別の場所でまた書いているのだろうけれど。

 

更新が止まった理由が、「飽きた」「ブログをやる時間がない」であってほしい、と切に願うこともある。飼っている文鳥の写真をひたすらアップしていた「文鳥ちゃんブログ」は、ある日、忽然と消えた。

 

互いのエントリーがいいと思えば、はてなスターを付け合っていた方は、昨年、ブログをたたんだ。コメント、はてなブックマークを含め、ひと言もかわしたことはない。

記事があがるたびに共感しつつも、心のどこかでわたしよりずっと、世間とは上手くやっていそうな方だと思っていた。が、最後のエントリーを読んで、ご本人の認識としてはそうでなかったことを知った。ご本人は「どこかでまた書くと思う」と書いていたし、きっとそうすると確信している。そういうのは、なんとなくわかるものだ*5。けれど、ネットはあまりにも広大だ。もう会うことは叶わないだろう。

 

ブログはすぐに始められる。書く理由は人それぞれ。やめる理由も同じくだ。外から何をいわれる筋合いはない。別に放置したっていい。

わたしだって、ここ最近は頻度高く更新しているが、それまでは細く長くだった。何しろ、昨年12月頭までの記事数は、7年で約150だ。そのうち、わたし自身が「どこかへ行った」側になるかもしれない。つづける気があったとしても、仮に気まぐれに5か月更新しなければ、その間は読み手にとって、「どこかへ行った」人になるだろう*6

 

「モニターの向こうには人がいることを忘れないで」とは、ネットマナーでよく言われることだ。つまり、ネットはバーチャルだから、人の存在を忘れてしまいがちになる、と言っている。

ブログを読むのは、ある意味それとは真逆。人の存在をわざわざ感じる行為だと思う。ごく私的に書かれた文章を開き、書き手の存在ばかりか、その輪郭を、その温度を、その息づかいを、その人の目から見た世界を感じようとする。わたしも含め、日常ブログや長文ブログを好んで読む人は、たぶん、それを求めているのではないだろうか。

 

袖振り合うも他生の縁。結局、ネットもリアルも変わらない。なんとなく会えていた人と、ある日、会えなくなる。そういったことは、人生でまま起こる。たとえば、定期通院をしている病院で、なんとなく顔を合わせていた人たち。あるいは、習い事で一時期、一緒になった人たち。通院が終れば、習い事をやめれば、ふっと会えなくなってしまう。多くの場合、二度と会うことはない。そして、その人の存在には代替がない。

 

ツイッターと違い、ブログは「コンテンツをある程度意図的に作成し、投稿し、集積する」性質があるからこそ、持続が難しい。一ネタ特化の場合は、そのネタを投下し終えれば、役割を終えることもある。

遠大な軌跡を描く惑星が、ほんの一瞬、接近する。ブログでの出会いや交流は、それに近いものなのかもしれない、とも思う。

もちろん、いま、交流がある方のなかで(あるいはそれ以外にも)、長くブログを続けていらっしゃる方はたくさんいる。けれど、出会いや交流に関しては、持続期間にかかわらず、得難いものだ。

 

であれば、何が大切なのか。何ができるのか。いまあるご縁を大切にし、楽しむこと。それだけだろう。

 

こうしてキーボードを打っていても、指先はしんしんと冷える。昼間はあんなに暖かかったのに。行きつ戻りつ、季節は進もうとしている。時間は止まらない。わたしにできることは、去り行く季節を惜しみつつも、春が近ければ、春を心待ちにすること。楽しむこと。

やっぱり、リアルもネットも変わらない。

 

 

画像は《天の川と流れ星のフリー素材 https://www.pakutaso.com/20200934268post-30912.html

*1:もっといらしたら申し訳ないことです

*2:そうですよね?

*3:こう書いた後に調べたら、当時、トップを走っていた方はYouTubeに活路を求め、頻回更新で印象に残っていた方は、そのころを過去のものとして語りながら、今も年に数回は更新されていた。ちょっとうれしかった

*4:もちろん、古参はてなユーザーはたくさんいらっしゃいますが、わたしが読者登録していたのは、比較的登録から日が浅いユーザーが多かったのでした

*5:同年代の方のブログを読んでいると、「あっ、この人はテキストサイトをやっていだろうし、日記サービスを使っていただろうし、mixiでも身辺雑記を書いていただろうし、ブログのスタートはここ1年だけど、絶対にそれ以前にもブログをやっていたはず!」みたいなこと、感じることありますよね。とくに、同年代の方々……!

*6:でも、あと5年ぐらい、合計10年超ぐらいはここにいるんじゃないだろうか。できるならそうしたい気持ちも、漠然とある