道具が生活を変えることは、よくある。
大きな冷蔵庫を買って麦茶や出汁を作るようになったことは、その一例だと思う。
同じように、読書にまつわる習慣を変えてくれたのが、タブレットだ。
今年のはじめ、タブレットを買った。
Lenovoのもので、たしか当時で2万円未満の機種だ。
用途は夫の語学勉強用。それと、電子書籍の漫画を読めればいいなと思っていた。
スマートフォンだと、語学学習アプリにしても、漫画にしても、画面が小さくて見えづらい。
我が家には古いKindle Paperwhiteがあるが、書籍の読みやすさはピカイチでも、漫画は読めたものではない。
Kindle端末を買い替えずにいられたのは、我が家が紙の書籍派だったからだ。
書店にはなくなってほしくないし、なんだかんだ紙の手ざわりを感じたいよね、みたいな。
タブレットを買うすこし前。
年末年始は、電子書籍書店が割引キャンペーンを繰り広げる時期だ。
ソフトバンク経済圏に取り込まれた我が家の愛用・ebookjapanでは、なんと漫画が軒並み50%還元*1。
折しも『鬼滅の刃』が完結したばかり。
この機会にと思って、一気買いした。
これがタブレットだと、めっちゃ読みやすい。
紙の単行本よりタブレットの画面が大きいので、それだけで楽。
ことに『週刊少年ジャンプ』連載作は、絵、お話ともに1話ごとの密度が濃い。
おもしろいが、それだけに(加齢してくると)負担を感じる。
それをだいぶ軽減してくれた。
細かいアクションシーンは拡大して見られるし、見開きの大ゴマが出てきたら、タブレットを傾ければ横向き表示にできる。
ソフトバンクユーザーかワイモバイルユーザーであれば、ebookjapanは毎週金曜日、漫画が30%オフになる。
タブレットでの読みやすさに気づいてからは、ほしい漫画をそのタイミングで買うようになった。
しかも、春にはDMMブックスの初回利用者70%オフキャンペーンもあった。
そして気づく。
「いままで物理書籍を増やすのが怖くて、だいぶストップかけていたな」。
しばしば書いているように、わたしは整理整頓が苦手だ。
極力、こまごまとしたモノは買わないようにしている。
が、職業柄、また、仕事をしている業界柄、本、漫画の類は別枠だと思って生きてきた。
支出が別腹なのは別にいい(いいのか?)が、増え続ける本をどうするかには、解決法はなかった。
心のどこかで、本や漫画を買うたびに「置く場所あるのかな」と考え、知らず知らず、買い控えしていたようだ。
電子書籍なら、置き場所考えなくていいじゃん、ブラボー! というわけで、今年一年は、電子書籍でバンッバン本や漫画を買った。
確定申告時、書籍代がどうなるのか怖い。
てか、今年、お金使いすぎなのではないか。
だいじょうぶなのか……。
電子書籍づいてきたのだろう。
Amazonのセールもチェックするようになった。
同時に、あまり使っていなかったKindle端末も復活させた。
小説を読むとき、タブレットも悪くはない。
けれど、軍配が上がるのは、反射が少なく、画面面積が小さなKindle Paperwhiteだ。
何より、移動中の読みやすさが段違いなのだ。
わたしは粗忽ものだ。
かばんはいつもぐちゃぐちゃで、帯を破ってしまうことが多い。
荷物が多めなので、ハードカバーの重さや厚さも負担になる。
Kindle端末は薄くて軽く、カバンを圧迫しない。
電車のなかで、つり革を持ちながらの片手読書も楽にできる。
すくなくとも自分の習慣や性質においては、「紙のページをめくる喜び」よりも、「紙の実体がないことの簡便さ」のほうが勝った。
読書量が多少、増えた。
「紙の本はすばらしい」といまでも思うし、書店にはなくなってほしくない。
それは変わらないけれど、紙の本の所有や持ち運びが負担だからといって買い控えるなら、本末転倒だ。
ただ、なんにでも向き不向きがある。
繰り返し読みたい本や、物語の分析に使いたい本などは、紙の本を買っている。*2
夫はよく語学学習の参考書を買うが、それも紙の書籍のほうが向いているようだ。
それと、「家族所有の本をたまたま読んでおもしろかった」といったことは、圧倒的に紙の本に利がある。
夫婦で同じタブレットを使っていてもそんな出会いは皆無だが、紙の本では今年だけでも2回ほどあった。
勢い、漫画アプリにも手を出すようになった。*3
こちらも当然だが、タブレットのほうが読みやすい。
振り返れば、2020年のゴールデンウィーク、「ジャンプ+」で無料公開されていた『ハイキュ―!!』を、必死になってスマホで読んだことがあった。
「おもしろい」「画面が小さくてつらい」「おもしろい」「集中すればするほど、画面小さくてつらい」のエンドレスリピート。
もっと早くタブレットを導入していればと悔やまれる。
「ジャンプ+」や「マガポケ」のように、出版社(レーベル)によるアプリ以外にも、オリジナルの縦読み作品(ウェブトゥーン)が強い「ピッコマ」や、過去作品の配信に強い「マンガBANG」(違法のマンガBANKとは違い、収益が作家に行くちゃんとしたところです)も試してみた。
「マンガBANG」のように、1日に複数の話数が読めるアプリは「読みがいがある」と思えるのだが、
「ピッコマ」などの「待てば各作品1話無料。毎日1話ずつ読む」スタイルは、オールドタイプのわたしには物足りない。
やっぱり一定時間、一作品に浸りたい。
課金すれば一気に読めるのだが……。
「ピッコマ」型の読み方、楽しみ方が隆盛を極めているのもたしか。
もうちょっと触れておきたい。*4
タブレットを買ったことで、電子書籍に対するフットワークが軽くなり、さまざまな作品にふれた一年。
しかし、電子書籍元年は、デジタル積読時代の幕開けでもあった。
本を積み積み、年は暮れる。
せめて年末は、Kindleの講談社学術文庫セールで買った、「イザベラ・バードの日本紀行」に手を付けたいなァ……。
というわけで、「買ってよかった2021」ガジェット編は、安いタブレットです。
写真は《漫画が置かれた棚のフリー素材 https://www.pakutaso.com/20141219353post-4966.html》
今週のお題「買ってよかった2021」