挙式にあたり、親族の服装をどうするかは、ちょっとした問題だった。
というのも、夫の親は洋服派、うちの親は和服派とはっきりと分かれたからだ。
まず、夫の家。
義母は留袖は持っておらず、「大げさなことはしたくない」という。
また、夫側の親族に小さな子どもがいるため、洋服の方が何かと便利だ。
そして、我が家。
母は留袖、義姉は結婚時にあつらえた色無地を所有している。
母は「洋服は何を着ていいかわからないから、かえってめんどうくさい」と言い、
義姉は、はじめて色無地に袖を通す機会を楽しみにしている様子だった。
どちらの主張も、わかる。
結婚式に着物を着て列席するのが当たり前の人
(私の出身地は、多少そういう土地柄だ)は、
着物を着るのが一番楽なのだ。
逆に、洋服で参列するのが当たり前の人にとっては、
着物など窮屈で、大げさに感じてしまうだろう。
何より、当日は、参列者にも楽しく過ごしてほしい。
幸い、両家の親は、自分が着るものに関しては主張があったが、
「式はあなたたちの好きにしなさい」と言ってくれていた。
そこで、
「どうせ大きな会ではないのだから、各人、好きなものを着ましょう!」
と声高に主張した。
もちろん、両家の親が何を着るのかは、各家に説明しておいた。
この「4」のエントリーに書いた体験も、役に立った。
「小さな結婚式だと、服装がバラバラでも、
それはそれで家族の風景でおもしろいし、変じゃないよ」
と、自信をもって伝えることができたのだった。
そうと決まれば、母と義姉の着付け、ヘアメイクをプロデュース会社に依頼。
プラスアルファの人員を派遣してもらうこととなった。
ふたりの着物は事前に神社に送付。
母と義姉の当日の服装は、以下のようになった。
洋服で神社へ入る→神社で着物に着付け→挙式→
挙式後、そのまま着物でタクシー移動→会食→会食会場のホテルで着物を脱ぐ
→フロントから着物を自宅へ送り、洋服で帰宅
ちなみに、男性親族の服装は、すべて礼服。
うちの父は、燕尾服を着たりはしなかった。
こうして、親族の服装が決まり、みんなひと安心。
当日は、新郎新婦、母と義姉の着付けで
スタッフがてんてこまいになったのだが、
それはまた別の機会に……。