平凡

平凡

海外旅行で病院送りになった話1~はじまり~

数年前、このブログで「海外旅行で一泊入院した話」を途中まで書いたことがありました。書きかけで止まっていたのですが、このたび大幅改稿し、最後まで書いたものをアップいたします。

体調不良の話がつづくのもなんですが、海外旅行が気軽なものになったときのご参考になれば。

全4回の1回目です。

***



 

時刻は午後7時。目に入るのは、清潔に磨きあがられたバスルームの床、そして便器。

 

――ああ、ランクの低いホテルにしなくてよかった*1

 

便座にもたれ、額に流れる脂汗をぬぐいながらそう思ったのもつかの間、激しい胃の痛みに襲われ、わたしは嘔吐した。

何度目だろう。もう胃液しか出ないが、嘔吐は止まらない。吐くたびに胃の痛みは増していく。

 

――これはダメだ。

 

数時間内によくなることは見込めない。そう判断したわたしは、文字通りバスルームの床をはって進み、部屋にいた夫に向かい、「旅行保険会社の窓口に連絡してほしい」と息も絶え絶えにお願いした。

 

これから書くのは、数年前のわたしの実体験だ。

 

このとき、わたしたち夫婦は夏季休暇を取り、3泊4日予定でベトナムのダナンへ来ていた。

体調不良になるまで、何があったのか?

時系列を追っていこう。


1日目
夜にダナン着。

夕食:ホテルの隣にあるローカルな海鮮レストラン。
貝のレモングラス煮、えびのBBQ焼きなど。

 

2日目
朝食:ホテルのバイキング。フォー、フルーツなど。

ミーソン遺跡へのツアーへ参加。さえぎるものがない遺跡はめちゃ暑い。

昼食:ツアーに含まれる昼食。生春巻きや牛肉とナスのオイスター煮など。生ものはフルーツぐらい。ちなみに味は微妙だった。

古都・ホイアン散策。

日差し強すぎてやってらんない。
計2回カフェで休憩。ベトナムコーヒー、スムージー

夕食:有名店で、揚げワンタン、ホワイトローズなど。


3日目

午前4時
早朝、仕事しながら、前夜ホテルのカフェで買ったチョコクロワッサンを食べる。

 

午前8時
朝食:ホテルのバイキング。フォー、フルーツ、パンケーキなど。

 

午前10時半
ダナン市街へ。この日も日差しが強すぎてやってらんない。我々以外、誰も歩いていない。タクシーの運転手もみんな日影で寝ている。

カフェでお茶。フルーツティーを飲む。

 

12時
昼食:有名バインセオ屋で食事。とても美味しかった。

ドリンクはコーラ。バインセオは「ベトナムお好み焼き」と呼ばれることが多い料理。米粉生地をクレープのように巻き、そこに生野菜や香草、豚肉の炒めものなどを巻いて食べる。ここでは、生野菜も挟んで食べた。

コーラは氷入りコップと供に提供され、わたしは食中毒をおそれ、缶から直接飲んだ。夫は氷入りコップについで飲んだ。

バインセオには豚のつくね串が5本ほどセットで付いてくるのがこの店の仕様。好きなだけ食べ、食べた本数の料金が請求されシステムだ。たいへん美味しく、この店に来たら食べない理由はない。ただ、客が手を付けなかったつくね串は使いまわししていないのかなあ、と一抹の不安はあった。いや、手を付けていなかったらいいのか。

 

14時
ホテルに戻る。プールへ入るが、なんとなく体がだるい。

 

16時
ビーチへ。体調はいよいよ微妙。貧血気味なのかなと思う。夫だけ海へばちゃばちゃと入っていくのを浜から見送る。ベトナムの砂浜は、波打ち際で筋トレする男性、ローカルのおっちゃんふたり、中国人の家族連れなど、さまざまなひとが入り乱れており、夫が男ひとりで海へ入ろうが、わたしがひとりでぼーっとしていようが、変な目で見られることはなく、気楽。

 

ホテルに戻る。1時間ほど眠り、起きるとからだがぞわぞわし、床に座り込む。

やがて胸がむかつき、バスルームに駆けこんで嘔吐。一度吐いたら止まらなくなった。途中、はいずって部屋へ戻り、夫に夕方予約していたホテルエステの解約をお願いする。

 

19時
1時間ほど嘔吐しつづけ、吐くものを吐いたが、治る気配がない。夫に旅行保険会社の緊急窓口に電話するようお願いする。これが冒頭のシーン。

 

連絡する先を旅行代理店にしなかったのは、19時だとオフィスは閉まっているから。

開いていたとしても、医者にかかれば診療費が発生する以上、最終的には保険会社に連絡することになると考えたのだった。

また、フリーツアーでの参加だと、トラブルのさい、旅行代理店はあまり頼りにならない印象がある。

自室で回復を待たなかったのは、寝れば治るとはとうてい思えなかったから。海外旅行先でお腹を下したことがある人複数から、「勇気を出してツアーコンダクター(またはホテルなど)にお願いし、医者にかかって薬をもらったら一発で治った」と聞いたことがあった。

医者にかかれば、一錠で一発すっきり、明日の帰国便も安心安心! このときは胃液を垂れ流しながらそんなふうに考えていた。

ダナンの夜は、まだまだはじまったばかり。

 

(つづく)

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今週のお題「人生最大のピンチ」

 

画像は《ダナンのリゾートビーチ(ベトナム)のフリー素材 https://www.pakutaso.com/20200827216post-28728.html

ダナン、いいところでした。

*1:とはいえ、うちはそんなに宿に御金をかけるほうではないので、ラグジュアリーホテルでもなし。最低ランクのホテルでない、築が新しいホテルである、ぐらいの意味合いです