この記事は、本当に、本当に、片づけられない人に向けて書いている。
もはや気力がない、どうしていいかわからない人に向けて書いている。
本当に片づけられない――というか、片づける気力がわかない人間にとって、
「どう取りかかるか」が最大の問題だ。
世の中には多くの片づけ本があふれているが、
この難問を解決してくれるものは少ない。
とはいえヒントがないわけではなく、
「台所からやりましょう」と書いてある本は多いのだが、
わたしの場合、台所ならできても、他の部屋は止まってしまう。
持続も波及もしない。
どうしたら気力がわくのだろう。
根性なし、と責めて気力がわくものではない。
精神論でシバいて改善できるポイントは、通り越している。
ちょっと自分でも病的だと思う。
でも、どうしていいかわからない。
夫は、「GOサインが出たら、バシバシやるよ」とは言ってくれるし、
実際動いてもくれるのだが、9割ぐらいはわたしのモノだ。
それを指示する気力もないし、
これは本当にタチが悪いと思うのだが、
いざ収納を考えるとなると、なぜだか自分の思うとおりにやりたいと思ってしまう。
八方ふさがりだった。
そんなわたしが、いま、部屋の片づけに少しずつではあるが、取り組んでいる。
きっかけは、昨年の年末ぐらいからある方法を試したこと。
それは、「1日1つ、モノを捨てること」。
きっかけは、この本を読んだことだった。
この本の基本はシンプルだ。
タイトル通り、1日1つ、たとえレシート1枚でもよいからモノを手放すこと。
そして、できれば手放したモノをスマートフォンなどで撮影すること。
「これだけのモノを捨てた」と記録、記憶し、充実感をもたらすためだ。
ひとつ断っておくと、
書籍には、不用品をどう見つけるか、
捨てるか迷ったときの判断方法などのTipsも書いてあり、
わたしのような片づけヒエラルキーが下の下の人間でなくても、
ちゃんと参考になる内容となっている。
ともあれ、わたしは、「へえ」と思った。
これならできそう。
何しろ、レシート1枚でもよいのだ。
とてもじゃないけど、わたしの部屋は、「1日1捨て」でスッキリする状態じゃない。
けれど、やらないよりはマシだろう。
まず手が伸びたのは、明らかな不用品。
「いつか捨てたい、手放したい」と思いつつも、手をつけていなかったモノ。
ずーっと処分しなければと思っていたけれど、そのままになっていた欠けた皿。
ちょっと大きめの不燃ごみ袋をみつくろうのが、ついついめんどうくさかったのだ。
着ないけど、誰かに譲ろうか、売ろうかと思っていた服。
よくよく見たら、放置した数年の間に、虫くい穴が空いていた。
どれもこれも、1つだと難敵ではない。
時間も気力もそうそうかからなかった。
ただ、心のどこかで「一気にやらなければ」と思っていた。
と、「1日1捨て」をはじめて気がついた。
そのため、かえってめんどうに感じ、行動に移せなかった。
行動のハードルを下げるため、わたしは手放したモノの写真は撮らなかった。
なんとなく、「今日は何を捨てよう」と1日1回考える。
しんどいときは、財布を開けて不要なレシートだけを捨てた。
それでも、「この仕事資料はいい加減古いな~」とチェックしているうち、
紙の束をまるごと捨てられる日もあるし、
同じ引き出しにずっと使っていない箸と箸置きがあったので、
まとめて捨てた、という日もある。
今日は調子がいいから、あれもこれも捨てちゃおうと、
2つ目、3つ目の不用品に手をつけることもある。
なにしろ、「めんどうくさい」で放置された、明らかな不用品はたくさんあった。
春先になると衣装ケースがひとつ空く、なんてことも出てきた。
そうすると、床に積み上げたままの本を、
ここに仮保管すればいいんじゃない? と思いつく。
何しろ今までは、部屋がカオスすぎて本棚を買い増しもできなかったのだ。
なので、こういった「救済措置」が取れることは、大きな光明だった。
「1日1捨て」には、思わぬ波及効果があった。
それは、「1日1つ、捨てるモノを考える」ことを通じ、
1日1回は、部屋の状態に目が向くようになったこと。
モノを捨てると同時に、
「今日、外出に使ったカバンをしまおう」
「文房具は仕事用引き出しへ戻そう」など、
1日1回は、部屋の状態をプチリセットするようになった。
わたしの部屋は散らかっているだけではなく、
「モノの住所がほとんど決まってない」
「押し入れは空なのに、床に衣装ケースが転がっている」と
とことん無秩序だったのだが、
プチリセットするとなると、それでは困る。
ゆっくりとではあるが、
「これは、置き場はどこがいいだろう」とひとつずつ考えられるようになった。
そうすると、むくむくとやる気がわいてきた。
手始めに、押し入れのサイズを測り直し、
ぴったりの収納ケースをえいやっと揃えた。
それは、この家に引っ越して以来、2年近く放置していた作業だった。
家中のあちこちに散らばった収納ケースに詰め込まれていた洋服が、
1か所にまとまった。
1日1回のプチリセットも楽になったし、
管理できる服の量も見えてきた。
もうひとつ大きかったのは、メンタル面への好影響だ。
「少しずつでも、わたしは部屋の状態をよくしようと動いている」事実は、
気持ちを実に楽にしてくれた。
何もできなかったときは、そのこと自体で気持ちがふさぎがちだった。
まだまだ、まともな部屋にはほど遠い。
悪い意味で、「私のお部屋、実はすごいんです」状態だ。
1日1捨ては続けているが、膠着状態に陥っている感は否めない。
少し忙しくなると、1日1回のプチリセットができないこともある。
それでも、「軽いタスクを、弱い出力で続ける効果」は実感済だ。
いつか、本当のお部屋自慢ができるようになりたい。
そのために、微弱でも、ずっと動き続けていく。
よく「やる気が起きないときは、タスクを細分化しなさい」と聞く。
今回は、まさにその実践だと思う。
タスクを最小限に分割したところ、
負担が少なくなり、物事が進むようになったのだろう。
しかし、わたしたち片づけられない人間は、
どうやって「片づけ」を細分化したらいいのか、想像もつかない。
それを知らず実現してくれるのが、「1日1捨て」なのだと思う。
どうしても片づけられない。
どうしていいかわからない。
もう手がつけられない。
そんな悩みを抱えている人には、ぜひ試してもらいたい方法だ。
今週のお題「お部屋自慢」