平凡

平凡

休日賛歌

何も予定がない休日。

ゆっくり寝て、遅い朝食に、ホットケーキをふたりで作る。

おたまからフライパンへ、できるだけ真上から生地を落としても、

なかなか丸くは焼けない。

土曜の正午前なら、テレビで「週刊ニュース新書」を見ながら食べる。

なぜなら、猫の「にゃーにゃ」ちゃんが出ているから。

ゲストの話をそっちのけで、にゃーにゃちゃんがいつ映るか、

どんなかっこうをしているのかをチェックする。

 

コーヒーかお茶を飲んで、洗い物を済ませて、洗濯をする。

たいてい、私が洗濯機を回している間、夫が掃除機をかける。

1年ほど前に購入したダイソンの掃除機を、夫はいたく気に入っている。

形がメカメカしいし、吸い込んだものが見えるので、

「ほら、畳を吸ったらこんなにほこりが!」とやるのが楽しい。

 

ここまですると、ずいぶん家事をした気がするねえとゴロゴロする。

アニメを見たり、漫画を読んだり。

そのうち、小腹が減って外に出る。

猫をよく見かける通りを選んで、きょろきょろしながら歩く。

夫婦そろってIngressのプレイヤーなので、ハックも大切だが、

スマートフォンばかり見ていては、猫は見つけられない。

悩ましいところなのだ。

 

そのうち、においに釣られて焼き鳥を買う。

「美味しい美味しい」と口々に言いながら、焼きたてを道ばたで食べる。

店のおじさんも、「ウチの値段は良心的でしょ!」と得意気だ。

 

「肉の端が、カリッとしていた」

「香ばしかった」

と、ほめたたえながら、また歩く。

 

猫がたくさんいる駐車場を通りかかる。

今日もいるいる、車の陰に。

猫たちはちょっと場所を移動しては、

こちらをの様子をちらちらとうかがっている。

冬毛がふくふくとしている。

ひとしきり、

「目つきが悪い!」

「立体的な、あのマズル感!」

「香箱座りの後ろ足のふくらみ方がよい!」

と猫たちの魅力を口にして、

あまり邪魔しちゃ悪いねとその場を去る。

 

通りかかったスーパーで、安い野菜を見つけると手に取る。

「ここの小松菜は1袋99円でも、駅前の店とは量が違うんだよ!」など、

普段培った買い物感覚を、夫に披露する。

調味料や米が切れていると、ここぞとばかりに購入し、夫に持ってもらう。

人手が2つあるというのは、ありがたい。

 

やがて、夕方の帰宅時間を知らせるメロディが流れ出す。

このメロディの受け取り方は、土曜と日曜ではまったく違う。

土曜だと、少しノスタルジックだけど、明日もあるもんね、と余裕がある。

日曜だと、楽しかった休日がもう終わってしまうと、とにかくさみしく、

ふたりとも目をそらしあって遠くを見たりする。

 

そろそろ風が冷えてきて、ふたりのどちらかがお腹が痛くなってきたりする。

家に帰ってお茶でも飲んでホッとして、また漫画でも読んでいると、夕飯の時間だ。

 

近頃は、家で食べるご飯が一番くつろげて、心地よい。

冬なら簡単に鍋を作って、ふたりでつつく。

 

お腹がいっぱいになって、土曜ならそのままウトウトしてしまう。

猫が折り重なって眠るように、

ふたりでわけのわからない姿勢でくっつくのが、あったかくて心地よい。

 

これではいかんと、コンタクト外して歯を磨き、

ああ、お休みって最高。

週休3日にならないかしら。

休みの日の素晴らしさを語り合う。

そうしながら、いつの間にかぐっすり寝てしまうのだ。

 

これが、何も予定がない休日の、私たちの過ごし方。

こう書いていても、改めて思う。

ああ、お休みって最高。