夫(当時は恋人)と付き合ってはじめてのバレンタインデーには、
ピエール・マルコリーニのシャンパントリュフと、
スマートフォン用モバイルバッテリーをプレゼントした。
気合いが入っていた。
2回目は、「高級チョコの美味しさは、わるんだけど……ちょっと違う」と
言っていたので、
豚の形をした板チョコレートを渡した。
食肉の部位ごとにパーツが分かれており、
それぞれが違った風味のチョコレートでできているものだ。
豚肉にかけて、「美味しい肉を一緒にたくさん食べよう!」と
やや強引なメッセージをカードに書いた。
昨年のバレンタインは、新婚旅行中だった。
現地の教会では、「バレンタインデーズ・スペシャルモーニング」をやっていて、
会議机とパイプ椅子を並べたところで、パンケーキを出したりしていた。
文化の違いに「へええ」と嘆息しつつ、とくに何も贈らなかった。
帰国して、何か甘いものをご馳走したかもしれない。
とにかく、結婚式と新婚旅行でそれどころではなかった。
今年はどうしようと話したところ、
「高級チョコは、苦かったりするじゃない、
本音を言えば、もっと普通のチョコが食べたい。
ピエール・マルコリーニが美味しいのはわかる。
でも、自分がもらって、食べてうれしいのはキットカットとかチロルチョコだ」
と主張していた。
豚のチョコレートは、部位によっては普通の甘さで好みだったが、
苦い部位もあって、「それはなんか違った」らしい。
とにかくビターなものが嫌ということがわかった。
「夢はなくてもいい」とのことなので、
今年のバレンタインは、
夫婦ともどもお気に入りの近所の洋菓子店にふたりで
足を運んで、ケーキを購入することになった。
夫はなんだかんだ、ショートケーキを選ぶだろう。
オーソドックスなものが、好きなのだ。
我々夫婦の、決して長くはないバレンタインの歴史を紐解いたとき、
導かれる結論はこれだ。
「夫は、甘いものに関しては、保守的な味覚の持ち主である」。
今後もその学びをいかし、
バレンタインには、夫が好きな、馴染みのある味を贈る所存である。
今週のお題「バレンタインデー」