中年、と呼ばれる年齢である。
今までのわたしは、職業的なこともあり、楽でカジュアルな服装を好んできた。
しかし、最近、昔と同じようなかっこうをしていると、顔が浮く。
いや、「最近」なんてウソだ。
ほんとうは、3、4年ぐらい前には勘づいていたけれど、見て見ぬフリをしてきた。
しかし、そろそろ……本当に……なんだか……、
「手持ちの服を着てもパッとしない」というレベルを超えて……。
年齢が上がるにつれて、オシャレは若いころとは違った難しさを帯び始める。
まず、たいていのことをごまかしてくれていた、
はつらつとした雰囲気や肌の色ツヤがなくなる。
自分のライフスタイルに合ったものでないと、しっくり来ない。
店の選択肢も、年齢が上がるにつれて少なくなってゆく。
年を取っても、若いデザイン、チープな服を上手に着こなせる人もいる。
しかし、それは賞賛にあたいする❝すごいこと❞であって、
なかなか真似できないと、私などは思う。
この冬あたりから、そこを意識して、セールに参戦してきた。
雑誌だと、バリバリ働いているか、専業主婦かなど、
あまりにライフスタイルがハッキリしていて自分にフィットしないため、
街で同じような年頃の人を見て、何を着ているかを観察。
しっかりとした生地のガウチョパンツと、
それに合うカットソー、
または体にやわらかく沿うニットあたりがほしいかも、と思いを定める。
仕事帰り、ちょっと敷居の高かったセレクトショップに飛び込んで、
気になる服を試着しまくる。
半額なれば、なんとか買えないことはない。
店員さんがある程度信用がおければ、相談しまくる。
(こういうボトムの上には、何を合わせればよいんでしょうか?)
結果、大枚はたいて買ったのは、以下。
- Uネックの白いニット(体にほどよく沿う)
- ツイードに似た生地のタイトスカート(青×白)
- 腰回りがややゆったりで裾がすぼまったテーパードの黒いボトム、
- 深緑の生地に黄色い花があしらわれたひざ丈ワンピース、
- ジージャンがわりに着られると言われた、褪せた青のパーカー
財布はたいへん痛んだが、手持ちの服は軒並み似合わなくなっているし、
ここ数年、まとまった買い物をしていないので必要経費、と言い聞かせた。
結果、これが大正解で、冬から春先にかけて、仕事に着ていく服に困ったことはなく、
取引先の人から、「なんとなく雰囲気が変わりましたね~」と言われたりもした。
(もっとも、それがよい意味かどうかわからない。
わからない以上はよい方に取っておくのが、
精神を健康に保つための私の選択である)
夏のセールでも、この栄光よ再び!
冬に次いで夏のワードローブがある程度揃ったら、
マイナーチェンジで次の5年を乗り切れるのでは?
ともくろんで、私は鼻息荒く街へ繰り出した。
目当ては以下の2つ。
- フェミニンな白いブラウスまたはカットソー(デニムの上に一枚着るだけでビジネス風になる)
- 今度こそガウチョパンツ
体型にも年齢感にも合っていた、冬のセールで見つけた店へ行き、
やはり試着しまくり、店員さんに相談しまくり。
そこから、
- 白いぺプラム(ウエストからふんわり裾が広がる)カットソー、
- 褪せた黒のガウチョパンツ、
- Tシャツとカットソーの間を取ったような紺のトップス、
- 夏生地でノーカラーのさっぱりとしたサマージャケット
を購入。
サマージャケットは、セール除外品だったが、
5年ぐらい探していたものなので、えいやっとレジへ。
ぺプラムは今持っているスカートにも合う。
ガウチョパンツは手持ちのトップスにはたいていマッチするし、
カジュアルダウンしたいときは、Tシャツを合わせてもよい。
これだけあれば5年、いや、少なくとも3年は戦えそうである。
❝今❞の私に合うかどうかを考え、
冬、夏とセールに足を運んでみて、
買い物も年代により変わっていくのだなと実感した。
まず、昔はやたらと明るい色を着たくなったものだが、
今は色がシンプル、風合いやラインがやわらかいものが落ち着く。
買い物が楽しく、心浮きたつことに変わりはないけれど、
今は、意外な服との出会いより、
「今、きれいに見せてくれるもの」を多少戦略を立てて手に入れる、
「必需品の獲得」めいた性格が強くなった。
客観的に見て、この服装が年齢感に合っているのか、
自分に似合っているのかわからない。
しかし、できるかぎりを模索していくしかない。
そして、主観的には、この冬、夏は
❝今❞を乗り切る戦闘服が首尾よく手に入ったように思う。
年齢を重ねるにつれ、外見も好みも、そして世の流行も次々と変わっていく。
❝戦利品❞の更新は、ゆめゆめ怠ってはならない。
そう思いながら、今日も私はぺプラムのカットソーとガウチョパンツで気合を入れて、
打ち合わせに赴くのであった。
今週のお題「セールの戦利品」