3月23日、TAMAコミが無事終わりました。
お越しくださった方々、告知に反応くださった方々、ありがとうございました。
今回、出店したTAMAコミは、開催場所は八王子、出店者数300あまり。
来場者は、やる気になれば全ブース回れるかもしれない、小規模なイベントです。
内容としては、一次創作中心、一次の作品があれば二次も並べてOK。
ちなみに一次創作の同人誌即売会出店者数は、コミティアは東京開催のもので4000前後、文学フリマで2500です。
わたしは基本、一次創作をしている人間なので、今まで出たことがあるイベントは文学フリマとコミティア。いずれも大規模なイベントでした。
そういったイベントは、来場者も多いもの。だから出会いも多い――と、昔のわたしは単純に考えていました。
が、参加してみるとそれは真実でもあり、幻想でもある。
ここ数年内に上記2つのイベントに参加した方ならわかると思うのですが、この規模になると会場が広く、来場者は事前にチェックしたサークルを回るだけで精一杯です。素早く動けばいい! と思っても、通路が混み合うので、そういうわけにもいきません。
もちろん「はじめまして」の方との出会いはあります。ただ、それにはまず事前告知で「あらかじめ出会ってもらう」ことも必要になってきます。「じゃあフォロワー数多い人しか勝たんの?」というとそうでもなく、各イベントには固定ファンがついていてハッシュタグ検索しているので、最低限告知をすれば、手ごたえを感じやすい側面もあります。また、当然ながら、当日、会場で「たまたま目に入りました!」という出会いも数少ないけれど、あります。
いろんな出会いが、あることはある。チャンスもいっぱいある。でも、全体的にせわしない~!!! というのが、おおまかな感想です。
(ひとつ言い添えますと、コミティアにおいて、わたしが出店している文芸ジャンルはイベントでのメインジャンルではないので、けっこうのんびりしています)
こういったイベントに足を運ぶ人は、「できれば会場で、おもしろいものと出会いたい!」「探したい!」と思っていることが多いです。もちろん出店者も「自分の作品を求めてくれる人と新たに出会いたい」と思っている。
イベント規模が大きくなっていくと、出会いの「数」自体は理論上増えているはずなのに、大規模ゆえに「偶然の出会い」「ゆっくり宝物を探す」チャンスは減っていく、あるいはそのように感じられてしまう……。
人気のイベントは、こういったジレンマを抱えているように思います。大規模イベントには大規模イベントの良さもあるのですが、そういったジレンマもある、という話ですね。
TAMAコミは、具体的な数を見ていないですが来場者も少ないはずです。昔のわたしなら、「ちいさなイベントって、そんなに出会いがないんじゃない? だってあんまり人来ないんでしょ」と言いそう。でも、実際出てみるとそうでもなく。
理由は大規模イベントのところでお話しした通り。
先ほどと重複しますが、イベントに来る人はたいてい、「おもしろいものと出会いたい!」と宝さがしを期待していて、出店者は「自分がおもしろいと思ったもの」「商業作品にはないもの」をおのおの持ち寄っています。それは会場の大小を問わないので、むしろ小規模だと「宝さがしがゆったりできる」「ゆっくり探してもらえる」といったメリットが生まれ、偶然のマッチングがしやすい側面がある。
小規模イベントだと、ブースが並ぶ机の間隔もゆったりめ、来場者も思い思いにブースを回ることができます。心理的余裕が違うんですね。
だから、ちょっと気になったらブースに立ち止まってくれる人も多いし、会話が生まれることも多い。その結果、同人誌が求められたり求められなかったりするんですが、どちらにせよ、そうして興味をもってくれた人に、「自分がおもしろいと思っているもの」のことを話したり、なんで興味をもってくれたのか聞いたりは楽しく、イベントの醍醐味を感じます。
そういうゆるい交流がのんびり生まれて、のんびり楽しめる。小規模イベントの良さはそこなのかな、と思いました。
そういった会話の中で驚いたのが、同人誌やブースの装飾を見て、「この絵、見たことがある!」という反応をいただいたこと。一度ならず二度か三度ありました。
お話の内容から、以前にアップしたお絵描き関連記事を読んでくださったようでした。覚えている範囲で、お一方はお絵描き初期に書いたビントロング記事、
絵がど下手くそな人間が、20日間絵を描いて感じたこと - 平凡
もうお一方は年始にあげた
昨日より今日、ほんの少しだけ成長していればいい。それでいい、それがいい。大人だから。 - 平凡
のほうを読んでくださった模様。
びっくりしました。まさかリアルイベントで、「ブログ記事が読まれてる!」って実感するとは思わないですから。
あの記事たちは、遠くまで読まれているんだな、と。あるいは、TAMAコミに足を運ぶ人と、ああいった記事は、相性がよいのかもしれません。それと同時に、絵の力ってすごいんだな、と感じました。そして、その絵の力で「なんかおもしろそう」と思ってもらって、文章までちゃんと読んでもらうことができたんだな、と。
ブログって、基本、サイレントな交流が多いです。それがよさでもある。前提として書きたいことを書いているだけなのでそれでもいいように思うんですけれど、どう届いているかわからないから、孤独を感じてしまうこともしばしば。でも、リアルイベントでのそういった反応があると、「あ、ちゃんと楽しんでもらえているんだ」とたしかな手応えがあって、とてもうれしいものです。
また、「朝、SNSに流れてきた設営写真に、(ブースに飾った)ビントロングの絵が映っていて、おもしろそうと思ってきました」とブースを訪れてくださった方もいました。
これは、
・ブースにビントロングの写真を飾ったから(以前は飾っていませんでした)
・設営写真を投稿したから
・それを、誰かがリポストしてくれたから
叶った出会いでした。
細かな告知の大切さ、そして告知にリアクションをいただくことのありがたさをしみじみ感じました。
効果を感じたのはたった一回。でも、わたしは興味を持ってくれる人との出会いを求めてイベントに出ていて、それは得難いものなので、やっぱりできる範囲で告知をやっていこうと思ったのでした。
何より、いろいろな方とお話ししていて感じたのは、自分が文章で伝えたいと思っていた「お絵描きのおもしろさ」は伝わっているのではないか、ということ。
これは文章を書く人間が絵について描いたからできたことで、ああ、書いて、描いてよかったなあと思ったのでした。
「伝わってる!」って、幸せな、うれしいことですよね。とにかくそういう喜びをたくさんいただいた一日でした。
大きなイベント、ちいさなイベントそれぞれに良さがあって、同じイベントでも、何ジャンルで出るかによって手応えが変わることもある。
わたしは初のイベント出店が2023年12月の文学フリマ東京37と、まだまだ新参者です。
自分が何を求めているか。今回用意した本を、どんなふうに人に手渡したいか。興味を持ってくれる人は、どこにいるのか。
それを考えながら、いろいろなイベントに出てみたいなと思っています。