平凡

平凡

夫、冬将軍をかばう

冬、本番である。

 

朝、布団から出るのがおっくうだ。

窓際の机で仕事をしていると、足が冷える。

洗濯物を干すのは、苦行か何かか。

 

それもそのはず、もう師走。

私は、冬が苦手だ。

「ひとっとびに春にならないかなー」と愚痴を言ったところ、

夫が「えっ」という顔をした。

 

「でも、冬にもいいとこあるじゃん……」

「たとえば?」

「鍋とか、美味しいし」

たしかにたしかに。

我々の好物、鰤しゃぶ大根鍋だって、冬じゃないと美味しくない。

「あと」

まだあるのか。夫だって、寒さにはけっこう弱いくせに。

「あと、ふたりでいるとあったかいし」

 

思わず、赤面してしまった。

 

愚痴とは、愚かで痴れたと書くもので、

師走に寒いと言っても詮ないこと。

空っ風が吹いても肌が乾燥しても耳がちぎれそうになっても。

冬には冬の喜びが、たしかにある。

とりあえず、今日の夕飯は、鍋料理で。

石狩鍋とかどうだろう。

レシピを検索しながら、

自然と笑みがこぼれた、寒い朝。

暦の上では、そろそろ大雪。