平凡

平凡

夫のかっこいいスーツ姿に不可欠なモノ、それがアイロンだった

私にも服装萌えがあり、やはり夫のスーツ姿はかっこいい、と思う。

ただし、結婚したからには、ただ愛でているばかりでは済まされない。

思わず見とれてしまうスーツ姿に欠かせない家事、それがアイロンかけだった。

 

手持ちのアイロンは、私が大学生のときに購入した安価なもの。

2000円もしなかったと思う。

コードはもちろんあり。

スチーム機能を使おうとするとボタボタ水が垂れるので、霧吹きはマスト。

アイロン台にいたっては、一枚板タイプで、そり返っていた。

 

一緒に暮らす前は、夫が平日に来るのは

週に1度ぐらいのことなので、

鈍重なアイロンと、シーソーのごとく揺れ動くアイロン板で、

私がざっくりざっくり、カッターシャツの皺をのばしていた。

 

同居後は、「属人性の高い家事」として、

カッターシャツのアイロンかけは夫の担当となった。

 

正直、週に5枚のカッターシャツのアイロンかけなんて、

発狂しないかしらと心配していた。

 

だが、夫は私のように、ただやみくもにアイロンを

バッタンバッタンと当てたりしなかった。

 

彼はまず、youtubeを開き、「アイロン かけ方」で検索。

複数の動画を確認したのち、「いろいろなやり方があるようだ」と言い、

一番性分に合ったものを手もとに置いたiPhoneで参考にしながら、ゆっくりと丁寧に、

カッターシャツにアイロンをあてた。

 

そうして仕上がったカッターシャツは、

袖山も背中のタックも、私がかけたときよりはるかに美しいものだった。

5枚のノルマをこなすころには、

動画を見ずとも作業を終えられるようになった。

発狂するどころか、夫はアイロンかけによって、

心の静けさを得ているようにさえ見えた。

 

そうして出てきたのが、アイロンの買い替えであった。

やはり動画を見る限り、脚付きのアイロン台と、

コードレスのアイロンがあったほうがベターではないか。

 

5000円前後で探したところ、私たちはこのアイロンに目を付けた。

 ポイントは、チタンコートで軽いかけ心地、

ヘッドに前後がなく、動きの自由度が高いところ。

紫×黒で、何かアニメに出てきそうなメカニック感も、私たち夫婦の嗜好を刺激した。

 

 あわせて買ったのが、「ハウディ」のアイロン台。

これは脚の❝生え方❞が、何か動物のようで愛らしい。

ハウディ PCアイロン台 アルミコート HS-642

ハウディ PCアイロン台 アルミコート HS-642

 

 この2つにより、アイロンかけは劇的に楽になった。

 

コードがないのはいわずもがな。

スチームは均一、アイロン台が平らである

……までは予想がついたのだが、驚いたのは次の点だ。

 

昔の何も工夫がないアイロンより、

鉄ごて部分に「チタンコート」があると、

衣服の滑りがよい。

すると、本体の重量も気にならない。

そのうえヘッドに前後がないので、

動きにストレスがない。

 

基本機能が同じでも、新しいものは、

より家事を楽にしてくれる。

そう実感させてくれたものが、このアイロンだった。

 

新しいアイロンで、夫はスイ、スイと、

カッターシャツを皺ひとつなく仕上げていく。

スチームがしゅんしゅんと音をたて、

高温で熱された布のにおいが、部屋に立ち込める。

丁寧に手で布をなでしつけ、

アイロンをあてる夫の姿は職人のようだ。

 

冒頭と矛盾するようだけれども、

私はただ夫のスーツ姿を愛で、アイロンかけをする姿も愛でている。

たまに真似してアイロンをかけてみても、夫のようには上手くはいかない。

 

というわけで、今週のお題「今年買って良かったモノ」は、

私にとってはこのアイロンなのだった。