平凡

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働くライターの姿がめちゃリアルな『しろくまカフェ』第8話

突然ですが。

みなさんはご自身の職業や職場が、フィクションで描かれたことがありますか?

あったとして、その描写は納得いくものでしたか?

 

 

こんにちは、平凡です。雑誌を中心にライターをしております。

今までもしばしば書いておりますが、ライターというのはなかなか地味な仕事です。

そのせいか、フィクションで描かれるライターはだいたいルポライター系だったり(事件の真相を追う!)、取材シーンは一瞬だったりするように思います。

最近のドラマでは、主人公がWebライターをしているケースも多いと聞きますが、どんな感じなんでしょう。

 

で、そんなわたしにとって、地味なライター仕事をそのまま描きつつ、「解像度たっか!」と思わせられた作品があるのです。

それは、TVアニメ『しろくまカフェ』。

テレビ東京・あにてれ しろくまカフェ

原作はヒガアロハさんの同名漫画。

2012年オンエアで、今年10周年を迎えた作品です。

ただし全50話のうち、ライターが出てくるのは1話だけ。

8話「雑誌取材がやってきた」の前半。わずか15分です。

しかしこれ、オンエア当時も今も衝撃的な“ライター解像度”だったのです。

 

この前、夫に「こんなところがリアル!」と解説しながらこの回を見せたところ、「そんな細かいところに共感できるのは……平凡ちゃんぐらいなんじゃないの……」と引かれました(笑)。

しかし、これを誰かに伝えたい! 誰得情報でも伝えたい!

そうだ、ブログだ! わたしのための場所! と思ってこのエントリーを記します。

たぶん、「地味~な仕事の細かすぎる描写でよくわからん選手権」な感じになると思います。

 

<『しろくまカフェ』作品概要&あらすじ>

舞台は人間と動物がゆる~く共存している世界。ただし、動物はけっこうリアル。

クールな(そして信用ならない)シロクマくんが営む「しろくまカフェ」に集う常連たちの日常をこれまたゆる~く描く。

で、8話Aパート(前半部分)は、そのカフェに取材がやってくる……という内容です。

ちなみにライターとカメラマンは人間です。

 

<このライター描写がすごい!>

 

名刺交換からすごい!

名刺を差し出すときの第一声が明るく、ちょっとカジュアルな雰囲気。

「はじめての場所だけど! がんばって! 明るく! 最初が肝心!」と勢いをつけている自分を見ているよう。

しろくまカフェ』に出てくるライター(大崎まゆみ)は、わたしと違って決してコミュ障な雰囲気ではないのですが、「空っぽ元気な感じ」がなんとなく自分と重なるのです。

そして、営業の人のようにビシッともしていなし、こなれていない感じ!

まさにライター!

 

服装がすごい!

登場するライターが身に着けているのは、当時流行っていた首元がゆったりしたプルオーバー(といっていいのか)にタンクトップ、カプリパンツにぺたんこのローファーっぽい靴、ショルダーバッグ。

オフィスカジュアルよりちょっとカジュアル。機動性重視。

記者発表会なんかに行っても、PR会社の人とはひと目で見分けがつくあの服装のニュアンス!

あっ! ライターだ!

 

バッグ持ちっぱなしがすごい!

しろくまカフェ』に登場するライターは、取材中、ずっとバッグを肩にかけているんです。

カフェ取材だと、「荷物置いちゃってくださいね」と言ってもらえることも多いです。

また、そういったお声がけがなくても、許される雰囲気ならカバンを客席などに置いちゃうことも多いです。

とはいえ、あちこち見て回る取材だと、荷物を持ちっぱなしのことも。

荷物持ちっぱなしがスタンダードではない…とはいえ、肩にかけっぱなしのバッグに「こ、これはライターだ!」と強く感じました。

 

立ち位置がすごい!

シロクマくんに話を聞きつつ、メモにペンを走らせるライター。

その間、カメラマンはインタビューカットを撮っています。

このとき、ライターはちゃんとカメラに映らない位置に立って話を聞いているんですよ。

すこしアングルが変わってもずっとそう。

地味だけど、これには驚愕しました。

カメラの位置を意識しつつ、若干中腰、前のめりで、取材対象との距離遠目。

これがもう、ライター!

たぶん、ライター云々関係なく、こういった細かい描写の積み重ねが作品のリアル感を高めているんでしょう。

スタッフさんはすごいです。

 

場を仕切ってる感がすごい!

編集者が同行しない場合、たいてい取材の場はライターが仕切ることになります。

カメラマンさんをアテンドして、協力してくれるお店の人に流れを説明して協力を仰ぎ、話を聞いているうちに撮影物が増えたらカメラマンさんにまたお願いして……。

お店に入ってしばらくしてからの、「それではさっそく取材を始めたいのですが~」の台詞。これ~! こういうこと言う~! 場を取り回さなきゃいけないから~。

また、カメラマンはずっと無言で撮影して、ライターは忙しく話を聞いている姿も、仕切っている感が出ていてライター感ある! ものでした。

 

話の聞き方がすごい!

ライターの、「ふむふむ、●●なんですね」と相槌を打って聞いている台詞回し。

なんてことない台詞ですが、原稿を頭の中で考えている雰囲気が伝わってきます。

シロクマ君が大ボラを吹いていたことがわかっても、「つまりお好みってことですね」と話に強引にオチをつけて、原稿に持っていくあの感じ―。

ぐあ~ライタ~~~~!!!

さらにおすすめを聞くシーン。

「そんなすてきなしろくまカフェですが」と前置きして、「おすすめがあったらぜひお聞きしたいのですが」と尋ねます。

「おすすめ」って、ある意味俗な質問じゃないですか。

「おすすめ」なんてないかもしれないし、この店はそういうのを主張しない主義かもしれない。

いろいろ考えて、「こんなにすてきなお店だからこそ、(俗な質問だとは存じますが)わたし、知りたいんです!」と流れをつくる……。

いや、作中のライターがそう考えているかわからないんですが、あの聞き方は非常にリアル! ライター度MAX! って思いました。

 

あちこち飛び回る感じがすごい!

途中でライターが外へ出て自家菜園を目にし、そこにカフェのスタッフさんがやってきて解説してくれるシーンがあるんです。

あのあちこち店内を歩き回って、予想外のお店の魅力に出会う感じ。

スタッフさんが「そっか、これは興味をひくポイントですよね」と気づいて解説してくれる感じ。

その流れと空気感がもう取材~~~~! ライタ~~~~~!

遠藤綾さん演じるスタッフ、笹子さんの説明の仕方も、完璧に「ライターを前に説明してくれるお店の方」なんですよね。

 

絶妙な外部の者感がすごい!

取材中に感じるライターの立ち位置って微妙なもので。

客とは違う利害によって、お店に時間をさいてもらうことを許された者。

お店の人が心を許すような時間もなく、ズケズケっとお店の内部のことを聞かざるを得ない者。

絶妙な“外部の者”感があるのですが、それがよく出ていました。

ああ、この宙に浮いた感じがライターーーー!

 

「あれっ、もう雑誌できたの?」がすごい!

ラストはできあがった雑誌が「しろくまカフェ」に送られてきます。

このとき、「もうできたの」ってお客さんが言うんですよ。

月刊誌だと、たとえば1日発売の場合、取材は発売日の前々月の月初か前月の頭ぐらいにやることが多いです。

9月1日発売の号なら、7月の終わりから8月頭にかけて取材している感じですね。もちろんケースバイケースですが。

取材から発刊まで3~4週間。意外とスピード勝負なので、「もうできたんですね」と驚かれることも多いです。

ライターというより、雑誌取材としてそのあたりもリアルだなあ……と。

 

しろくまカフェ』を見るなら…

細かすぎて伝わりづらい『しろくまカフェ』ライター描写のここがすごい!

いかがでしたでしょうか。

この回、オンエア当時も見て、「わわわ、わたしがいるーーー!!!!」と衝撃を受けて、そわそわしていたんですね。

当時は今よりもっとカフェ取材が多かったので、よけいにそう思いました。

今回、ほぼ10年ぶりに見返しました。

正直、「もう一回見たら、たいしたことないなあ」となるんじゃないかと思っていたんです。

が、甘かった!

今のほうがより、「ここがすごい、あそこがすごい」と冷静に理解できた気がします。

 

久々に見た『しろくまカフェ』は絵柄を含め、10年経ってもまったく色あせていませんでした。

ゆるいなかにたまにトガった部分がシレっと入っていて、ちょっと他にないアニメです。

超有名なキャストばかりなのですが、「この人がこんな声を出しているの!?」と思うような配役も多いです。

とくにペンギンさんの神谷浩史さん。ほかでこんな声を聞いたことがないような。

福山潤さんののんびりニートで図太いパンダくんも、相当意外です。

ただ、主人公のシロクマくんのCV.櫻井孝宏さんは、いつも通り信用ならない感じです(笑)。

 

ゲストキャラのライター・大崎まゆみを演じたのは能登麻美子さんでした。

いつものふんわりした感じではなく、若干声高めに演じているんですよ。

それがまた役柄にマッチしているし、「ライタ~~~~!」って感じを高めてくれます。

 

ゲストも含めやたら豪華なキャスティング、遊び心たっぷりのED。

キャストの名前でピンときたら、バンダイチャンネル(1話見るだけなら登録不要・無料)で見られる1話をぜひ。

 

www.b-ch.com

さらに見たいと思ったら、おすすめはdアニメストアでの配信です。

1か月440円なので、50話をだら~っと見るのも一興ですよ!

dアニメストアは新作アニメはたいてい配信されていますし、古めのアニメならNetflixAmazonプライムに負けないどころかぶっちぎりです。

古いものだと『メガゾーン23』とかも入っていますからね……(2022年7月現在)。

 

なんだか最後はdアニメストアの宣伝になってしまいました。

 

というわけで、本日は、ライター(紙媒体)の専門学校とかセミナーがあるとしたら、許可取って流してくれ~と思うほどリアルな『しろくまカフェ』のライター描写の話でした!

 

画像は《牙を見せる白クマのフリー素材 https://www.pakutaso.com/20121220346post-2217.html