平凡

平凡

「プリキュア」が終わる、年が替わる

アニメファンにとっての“年替わり”は2回ある*1

1回は1月1日。

もう1回は1月末から2月にかけて。

プリキュア」シリーズが新旧交代するときだ。

 

プリキュア」シリーズは、いわずと知れた女児向けアニメの代表格。

特徴は、女の子たちが「伝説の戦士・プリキュア」となって、パンチやキックも駆使して戦うこと。

2004年からオンエアが続いており、今年で18年目。2月にはじまり1月末に終わり、たいてい一年で“代替わり”する。つまり、世界観を入れ替え、まったく新たな主人公が誕生する*2

 

2004年にはじまった「ふたりはプリキュア」を見たときは驚愕し、夢中になった。

何しろ、女の子が肉弾戦をするのが新しかった。

オープニング映像からして、空中を舞った主人公たちがくるくる回り、壁に着地して敵をにらむシーンがある。実に気持ちよいアクションで、「女の子が暴れる」という期待感をあおってくれた。

第1話は公式チャンネルにアップされている。オープニングは1分40秒あたりから。

【公式】ふたりはプリキュア 第1話「私たちが変身!? ありえない!」 - YouTube

 

タイトル通り、当時のプリキュアはふたり。

ラクロス部所属の中学生・美墨なぎさは、活発で友達が多く、運動神経万能で、大食い。

科学部所属の雪城ほのかは、お嬢様育ち。頭脳明晰で理系分野が得意。おっとりしているが、芯は強い。

典型的なあべこべコンビだが、ふたりの初期関係がおもしろかった。

「仲が悪い状態から、唯一無二の関係へ」は物語のひとつのパターンだが、物語開始時、ふたりは仲が悪くさえない。

名字で呼び合うクラスメイト。名前も顔も知っているけれど、それだけ。

いいも悪いも、そもそも「仲」が存在しないような関係だ。

そのふたりが協力して戦うことになったのだから、戸惑いは生々しいものだった。

 

当初の戸惑いもふくめ、未熟な年頃の女の子の、まっすぐな気持ちが繊細に描かれているのが何よりの魅力だった。

物語によっては、なぎさが人間心理に聡かったり、ほのかが意外に鈍いところがあったり、年相応の迷いを見せる。

忘れられないのが、「さよならほのか!? 絆は固く永遠に!」という回(「ふたりはプリキュア」の2シーズン目である「ふたりはプリキュアMaxHeart」の38回)。

海外で仕事をしているほのかの両親から、「パリに住まないか」と誘いが来る。

ほのかは迷う。周りのみんなは、「頭のよいほのかにとって、これはチャンスだよ!」と言う。

この回になると、ふたりの絆はたしかなものになっているので、なぎさはもちろん行ってほしくない。が、「ほのかの判断を尊重する。ほのかならパリでも上手くやっていけるよ」というようなことを言ってしまう。

この一見、きれいに取り繕った物言いはほのかを傷つけ、なぎさ自身も「こんなことが言いたかったわけじゃない」と悩む。

ひたすら悩んで、悩んで、悩んで……結局なぎさは上手くなんて言えないのだ。でも、最後はある方法でふたりが気持ちを通じ合わせる。

これがものすごくよかった。上手く言えない、やれない。それでもとにかく気持ちを伝えることで、ふたりは前に進んでいく。その不器用さがまぶしかった。

あらすじは公式サイトに詳しいが、ちょっと詳細に解説しすぎじゃない!? と思わないでもない。Netflixに入っている方は、ぜひ配信で見てほしい。

https://www.toei-anim.co.jp/tv/precure_MH/episode/summary/38/

 

それからおよそ18年。あまりチェックできなかったシリーズもありつつも、毎年、楽しみにしている。

1年間、40話超で描かれる人間関係のはじまりと終わりには、感慨深いものがある。慣れ親しんだキャラクターとお別れし、また新しいキャラクターと出会う。その新旧交代に慣れるのは、早くて春、ゴールデンウィークぐらいだ。

気持ちの切り替えが上手くいかない年もあって、大好きだった「スター☆トゥインクルプリキュア」の余韻で、「ヒーリングっど♥プリキュア」はいまひとつ集中できないままに終わってしまった気がする。

わたしは近年、あっけらかんとしたシリーズが好きなので、現行の「トロピカル〜ジュ!プリキュア」は大変楽しかった。その「トロプリ」も残すところあと1回。ラストバトルでは、劇画調の作画もまじえて、“格闘のプリキュア”という原点を思い出させてくれた。残るはエピローグ的な話のみだ。

果たして今年は、次シリーズ「デリシャスパーティ♡プリキュア」にうまくランディングできるのだろうか。

第1回は2月6日。くしくも古くは年の改まる節目とされた立春(2月4日)の2日後だ。

 

(女児向け)アニメファンとしての、年が替わる。ブログの更新が途絶えたら、気持ちの整理がつかなかったんだなと思ってください。

*1:主語がデカい。正確には、一部のアニメファンにとって

*2:2シーズン続いた作品もあるので、例外もあります