我が家の献立は、「きょうの料理ビギナーズ」に頼り切りだ。
TVでオンエアされている番組はほとんど見ていないのだが、
テキスト本は毎月購入している。
料理に手をかける人には物足りないと思うが、
「簡単に作りたいけれど、自分の引き出しだけだとワンパターン」な
私のようなタイプには重宝する。
(番組サイト)
きょうの料理ビギナーズ|くらしのパートナー:あなたの毎日の暮らしを豊かにするEテレ(NHK教育テレビ)の生活実用番組ポータルサイトです。
「きょうの料理ビギナーズ」レシピのよいところは、使う食材が少ないこと。
しかも、旬の食材を取り上げてくれる。
一見すると、シンプルすぎないか? と思うのだが、
足さず引かずレシピ通り作ると、
なぜその素材を組み合わせたか、理由がわかる。
シンプルゆえに、
味の組み合わせの妙や、食感の違いなどが際だつのだ。
「ビギナーズ」と銘打っているので、
材料の切り方やゆで方など、
「なんとなく」やってきたことの正解がわかるのもいい。
たとえば、かぶを葉付きのまま使いたいときは、
しばらく水につけておくとよい、なんてことも初めて知った。
こうすることで、葉の根もとに入り込んだ土が浮いてきて、取れやすくなるのだ。
また、掲載レシピには、「適量」がほとんどない。
塩小さじ1/3など、細かい分量まで書かれているので、安心感がある。
これは、「きょうの料理~」に限らず、
最近売られているレシピ本に多い傾向かもしれない。
もうひとつ、これは「きょうの料理ビギナーズ」というより、
ちまたで売られているプロによるレシピ本全般と、
ネットで素人がアップしているレシピを比べての雑感なのだが、
調味料の量が違う。
クックパッドは私も愛用しているものの、
ときどき、調味料を入れ過ぎなのではと思うレシピがある。
(もちろん、そうではないものもたくさんある)
味というのは不思議なもので、
調味料を多く入れた場合も、少なく入れた場合も、
バランスが取れてさえいれば、
濃すぎず薄すぎず、美味しく感じることがある。
プロのレシピは、おのおのの調味料の役割を踏まえたうえで、
量や割合が考えられているなと思うことが多い。
そんなわけで、「きょうの料理ビギナーズ」は、
日々の献立を考えるのには欠かせない。
毎月新しい号が出ると、「今月は何を作ろうか」とページをめくるのが楽しみでもある。
そういえば、私が幼いころ、
母は「きょうの料理」のテキスト本を愛読しており、
母の味は「きょうの料理」の味だった。
「あの料理が食べたい!」とリクエストすると、
母はボロボロになった「きょうの料理」の切り抜きをめくり、
レシピ通りに作ってくれた。
(反面、レシピを紛失し、再現不可能な料理も多い)
我が家でも、既に、「きょうの料理ビギナーズ」由来で
定番となっている料理がいくつかある。
夫に「あれ、もう一度食べたいなあ」と言われると、
私は「きょうの料理ビギナーズ」をめくり、
レシピ通りに調理する。
そんなとき、母の気持ちが少しわかるような気がするのだ。
きっと、美味しくて、安全で、身体によいものを食べさせたかったのだろう。
母と私は、NHKの料理番組でつながっている……のかもしれない。
何やら運命的なものを感じつつ、
今日もまた、「きょうの料理ビギナーズ」を開いて献立を考えている。
「きょうの料理ビギナーズ」は、表紙やデザイン、特集名もかわいい。
私が一番好きなのは、10月号の「きのこ! きのこ! きのこ!」。
中面のイラストも、肉特集で肉食恐竜が出てきたり、ユニークだ。