平凡

平凡

むかしのこと

奥多摩から帰る

その電話を受けたとき、わたしは奥多摩にいた。 「おじちゃんが、倒れてしまって」 電話の向こうで、母が泣いていた。 おじちゃんとは、母の再婚相手のことだ。 奥多摩で何をしていたかというと、 レンタサイクルを借りて、デートをしていた。 相手はまだ、…

羽毛布団を捨てる

羽毛布団を、捨てようと思う。 この布団を使うようになったのは、はるか昔、もう30年も前のことだ。 そのころ、わたしの実家は新築フィーバーにわいていた。 憧れのフローリング、 小さな玄関の吹き抜け、 そして子どもたちにとっては、念願のひとり部屋。 …

永作博美主演のあのCMが、今も変わらず胸を打つのは

オンエア当時、狂ったように見まくっていたCMがある。 永作博美が出演していた「月桂冠 月」の一連のシリーズだ。 CMソングは、安藤裕子の「のうぜんかつら(リプライズ)」。 とくに、「ふたりの貝」編が好きだった。 CMは、永作博美*1演じる妻が、畳の上で…

死にたいなら死にたいまま生きればいいじゃないですか、とその人は言った

思春期のころは、ずっと死にたかった。 最初は、その年ごろにありがちな、厭世的な思考だった。 「町で一番高いマンションから、飛び降りちゃおうかな」。 あくまで自分の意思で。選ぶのは、私。 それが当初考えていた、「自殺」だった。 しかし、精神の調子…

世間知らずのころ

新卒で入った会社には、丸2年しか勤めなかった。 10人前後の小さな企業だったこともあり、後輩をもった機会はわずか1回きり。 その人は、40絡みの男性だった。 くたびれたスーツを着て、どこかだらしなく見えた。 「美味しんぼ」初期の山岡をリアルにしたら…

人生は、砂漠を歩くようなもの、と思っていた

幼いころから、眉間に皺ばかりよせている子どもだった。 そのころ考えていたことでよく覚えているのが、 「人生とは、砂漠をひとりで歩くようなもの。 どうやって歩いていけばよいか」。 結婚とは、年齢がきたら適当な相手と❝してしまうもの❞。 そして、どう…