実家暮らしが長かった夫。
ひとり暮らし経験もなくはないが、あまり家事をしたことはないようだ。
結婚を機に、日常的に家事をするようになった彼の頭には、
さまざまな疑問が浮かぶようで。
たとえば、吸ったゴミが見えるダイソンのハンディ掃除機を手に、
「ねえ、ほこりって何? なんでこんなに出るんだろう?」
見ると、ダイソンの透明ボディには、灰色のほこりが舞っている。
掃除機は、私だってときどきかけている。
たしかに、どこから何がこんなに出てくるんだろう。
調べてみたところ、ほこりはさまざまな糸くずの集合体であり、
色とりどりのものが集まるため、灰色に見えるのだという。
生きているだけで、なんだかんだ汚れをまき散らしているのだなとしみじみ思った。
次は、台所での不思議。
私は10年ぐらい、土鍋で炊飯をしている。
炊きあがりのタイミングで、私が目安にしているのが、
「ブワブワボコボコと吹きこぼれた後、すぅーっと静かになり、
蒸気の吹き出し口から1本、まっすぐな湯気が上がったら」。
これを説明したとき、
「なんで静かになるの? お湯だったら、ずーっとわくよね?」。
ううむ、言われてみれば不思議だ。
私が上記の目安を見つけたのは、土鍋屋のお兄さんに、
「弱火でずっと炊いていれば15分ぐらいで炊けるよ」と言われ、
実践するなかで経験則的に身についたものだが、
その仕組みは考えたことがなかった。
「土鍋がなぜ静かになるか」については、まだ理由がわかっていない。
水分や、水分に含まれる酸素が関係しているのではと思うのだが……。
最後は、洗い物。
我が家の分担は、私作る人、夫洗う人。
洗い物をはじめた夫が最初に言ったことは、
「洗い物に正解はあるのだろうか」だった。
「正解」という発想はなかったので、その言葉に、まず驚いた。
聞いてみると、アイロンに関して「かけ方」動画が
多数Youtubeにアップされているように、
洗い物にもマニュアルがあると考えたようだ。
夫は日々、洗い物をこなしながら検索し、
「なかなか『これ』というものはない、ということがわかった」と言いつつ、
自分なりのベストを模索している。
また、ときどき夫婦で「洗い桶派と流水派、それぞれのメリットデメリット」などを
話したりする。
夫の疑問は新鮮でおもしろい以上に、
私自身が家事に対して、
いかに惰性的な習慣や思い込みが強いかを自覚させてくれた。
「どこからかやってくる」と思っていたほこりの生みの親は、自分だった。
洗い物のやり方は、もっと効率がよい方法があるのかもしれない。
土鍋炊飯は長年の経験に頼り過ぎており、属人性が高すぎる。
明文化するか、炊飯器を導入する必要があるのでは?*1
それは結婚前には予想しなかった化学反応だった。
前提が違う他の人間と暮らすって、楽しいことだなと思う、今日この頃である。
*1:うちには炊飯器がない。土鍋でしか炊飯しないので、だいぶ前に捨ててしまった