あらかじめ。
これは、私自身が、いわゆる
❝興が乗り出すと、早口でたくさんしゃべってしまうタイプ❞だから
かもしれないけれど。
夫と付き合う前、もっというと、二人きりで出かけるようになる前。
「この人、他の人と違うな」と感じたのは、
私が何か、映画か漫画かの感想を話したときのことだった。
私の感想なんて、誰も真剣に聞かないだろうと思い、
尻切れトンボ気味に、適当にまとめたところ、
夫は全部を聞き終わった後、
「なるほど。それで、○○ということは、××と思ったりしますか」
と、感想に対して、質問を重ねてきた。
ごく普通のことのようだが、
私の経験では、とくに映画やアニメ、漫画について話すとき、
互いにバーッと感想を言い合い、
聞き手に回っても、
違うと思ったらそこで自分の感想を重ねて、
それで会話が終わってしまうことが多いように思う。
感想を交互にぶつけ合っている、
カラオケのような会話だ。
もちろん、そのなかで、自分とは違った意見を知ることができる。
本気で聞き、話す限りは、❝カラオケ型❞は決して悪くない。
ただ、私の場合、カラオケ型会話のうえに、
「私の感想なんて、どうせ」と、いい加減に話していたこと、
そのコインの裏表で、どこか人の感想もきちんと聞いていなかったことに、
夫に聞き返されてはじめて気が付いた。
これはとても恥ずかしいことだった。
同時に、カラオケ型を外れた間を取った夫に興味をもったし、
この人は、ゆっくりと私の話を最後まで聞いてくれるということに、
安心感も覚えたのだった。
それでいきなり恋には落ちなかったけれど、
振り返ると、
夫に惹かれる、かなり重要な布石になった。
もし、カラオケ型会話が多いコミュニティで誰か意中の人がいるのなら。
たとえあなたがきちんと本気で話し、聞く人だったとしても、
少しだけ会話の間を変え、話を落ち着いて聞くことで、
距離が縮まることもあるんじゃないかな、などと思う今日この頃なのであった。 *1
*1:もっとも、当時、夫は私に気があって
そのような態度を取ったわけではないようだ。